確定裁判を経ない数個の犯罪が併合罪の関係にある場合でも、必ずしもこれを併合審判しなければならないものではないのであつて、原番がその措置に出なかつたことをもつて違法ということはできない。
確定裁判を経ない数個の犯罪が併合罪の関係にある併合審判の要否。
刑法34条,刑法47条,刑法50条
判旨
確定裁判を経ていない併合罪の関係にある数個の犯罪について、裁判所は必ずしもこれらを併合して審判しなければならない義務を負うものではない。
問題の所在(論点)
確定裁判を経ない数個の犯罪が併合罪の関係にある場合、裁判所は刑事訴訟法上、これらを必ず併合審判しなければならないのか。
規範
刑法45条前段に規定される併合罪の関係にある数個の犯罪であっても、それらを同一の訴訟手続において併合審判するか否かは、裁判所の裁量に委ねられる。必ずしも併合審判を行う法的義務があるわけではなく、分離して審判が行われたとしても、そのことのみをもって直ちに違法とはならない。
重要事実
上告人は、確定裁判を経ない数個の犯罪が併合罪(刑法45条)の関係にある場合において、これらを併合して審判しなかった原審の措置を違法であると主張して上告した。
あてはめ
事件番号: 昭和55(あ)2181 / 裁判年月日: 昭和56年2月27日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】同一の犯罪について二重に処罰するものでない限り、量刑上の不利益が生じても憲法39条の二重処罰禁止の規定には違反しない。 第1 事案の概要:被告人が上告審において、量刑の不当性や憲法14条・39条違反を主張した事案。弁護人は、本件の処罰が二重処罰にあたると主張して上告したが、具体的な事案の詳細は本決…
本件において、数個の犯罪が併合罪の関係にあることは認められる。しかし、刑事訴訟法上、関連する事件を併合して審理するか否かは、訴訟の進行や審理の効率性を鑑みた裁判所の合理的な裁量に属する事項である。したがって、原審が本件各罪を併合して審判しなかったとしても、それは裁判所の権限行使の範囲内であり、法令違反の違法があるとはいえない。
結論
併合罪の関係にある数個の犯罪を併合審判しなかった原審の措置は適法である。
実務上の射程
併合罪の処理に関する裁判所の広範な裁量を認めたものである。答案作成上は、被告人が併合審判を求めたにもかかわらず分離審理が行われた場合の違法性検討において、本判例を根拠に「裁判所の義務ではない」と簡潔に指摘する際に用いる。
事件番号: 昭和59(あ)1559 / 裁判年月日: 昭和60年3月29日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】余罪を量刑の資料とする際、それが実質的に未起訴の犯罪を処罰する趣旨で考慮されたものでない限り、憲法31条及び39条には反しない。 第1 事案の概要:被告人は有印私文書偽造・同行使等の罪で起訴された。第一審判決は、本件各犯行の犯罪組成物件を没収するとともに、未起訴の事実(余罪)を量刑の資料として考慮…
事件番号: 昭和28(あ)4639 / 裁判年月日: 昭和29年2月25日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】憲法37条1項が定める「公平な裁判所」とは、裁判官が被告人と個人的な利害関係を持つ等の不偏不党性を欠く状態にない組織を指し、当事者が主観的に不公平と感じるか否かによって決まるものではない。 第1 事案の概要:被告人が、原判決の量刑が不当であることを理由として、憲法37条1項の保障する「公平な裁判所…
事件番号: 昭和31(あ)4343 / 裁判年月日: 昭和32年4月5日 / 結論: 棄却
私文書偽造罪の判示として「行使の目的を以て」なる文言の記載がなくとも判文の全体からその趣旨が認め得られるときは、判示として欠くるところはない。
事件番号: 昭和62(あ)114 / 裁判年月日: 昭和62年12月3日 / 結論: 棄却
誤つて公訴事実の同一性のない訴因の追加を許可し、その訴因についての証拠を取り調べた第一審裁判所は、右誤りを是正するために訴因追加の許可及び証拠の採用を各取消決定をすることができる。