私文書偽造罪の判示として「行使の目的を以て」なる文言の記載がなくとも判文の全体からその趣旨が認め得られるときは、判示として欠くるところはない。
私文書偽造罪の判示方
刑法159条1項,刑訴法335条1項
判旨
裁判官が良心に反して裁判を行ったという違憲主張は、その事実を認めるべき資料がない限り前提を欠くものであり、実質的な法令違反や量刑不当の主張は刑訴法405条の上告理由に当たらない。
問題の所在(論点)
裁判官が良心に反して裁判を行ったとする主張が憲法違反の上告理由として成立するか。また、事実誤認や量刑不当が刑訴法405条の上告理由に当たるか。
規範
憲法が要請する裁判官の独立に関して、裁判官がその良心に反して裁判をしたと認めるべき資料が存しない場合には、憲法違反の主張はその前提を欠く。また、単なる法令違反、事実誤認、または量刑不当の主張は、刑事訴訟法405条所定の上告理由には該当しない。
重要事実
被告人Aおよび被告人Bが、原判決に対して上告を申し立てた事案である。被告人Aの弁護人は、原審裁判官が良心に反して裁判をしたとして違憲を主張し、被告人Bの弁護人は事実誤認および量刑不当を主張して上告した。
事件番号: 昭和28(あ)4132 / 裁判年月日: 昭和30年6月29日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】憲法違反を主張して上告がなされた場合であっても、その実質が単なる訴訟法違反の主張にすぎないときは、刑事訴訟法405条の上告理由には当たらない。 第1 事案の概要:被告人(または弁護人)が、原判決に対して憲法違反を理由として上告を申し立てた。しかし、その主張の具体的な内容は、実質的には刑事訴訟法の規…
あてはめ
本件において、原審裁判官がその良心に反して裁判をしたと認めるべき資料は何ら存在しない。したがって、違憲の主張はその前提を欠いている。被告人側の主張の実質は、単なる法令違反、事実誤認、または量刑不当の主張にすぎず、これらは刑訴法405条が規定する適法な上告理由には含まれないと解される。
結論
本件各上告は、刑訴法405条の上告理由に当たらないため、棄却されるべきである。
実務上の射程
憲法違反を理由とする上告において、裁判官の職権行使の態様を争う場合には具体的な資料による裏付けが必要であること、および上告理由の厳格な制限(刑訴法405条)を確認する際に参照される。
事件番号: 昭和46(あ)1017 / 裁判年月日: 昭和48年4月5日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】上告趣意が判例の具体的摘示を欠く場合や、原審で主張・判断されていない憲法違反をいう場合などは、適法な上告理由にはあたらない。記録上、自白の任意性に疑いがない限り、憲法38条2項違反の主張も認められない。 第1 事案の概要:被告人A、B、Cおよびそれぞれの弁護人が上告を申し立てた事案である。被告人A…
事件番号: 昭和47(あ)2127 / 裁判年月日: 昭和49年3月1日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】上告趣意書差出期間の延長を求める主張、事実誤認、単なる法令違反、量刑不当の主張はいずれも刑訴法405条の上告理由に当たらない。 第1 事案の概要:被告人が上告趣意書差出期間の延長を求め、弁護人が事実誤認、単なる法令違反、および量刑不当を理由として上告を申し立てた事案。 第2 問題の所在(論点):上…
事件番号: 昭和47(あ)789 / 裁判年月日: 昭和47年6月8日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】憲法違反の主張が実質的に判例変更を求めるものである場合や、量刑不当の主張は、刑事訴訟法405条の上告理由に該当しない。 第1 事案の概要:上告人は、憲法違反および量刑不当を理由として上告を申し立てた。しかし、憲法違反の主張は実質的に従来の最高裁判例の変更を求める内容であり、量刑不当の主張は法定制限…