火薬類取締法五九条二号、二一条の各規定は、憲法二九条に違反しない。
火薬類取締法第五九条第二号、第二一条の合憲性
火薬類取締法59条2号,火薬類取締法21条,憲法29条
判旨
銃砲刀剣類や火薬類は犯罪に供される危険があるため、公共の福祉の保持を目的とした所持禁止規定は憲法29条に違反しない。
問題の所在(論点)
銃砲刀剣類等所持取締令および火薬類取締法による「所持の禁止」が、憲法29条に保障された財産権を不当に侵害するものではないか。
規範
財産権に対する制裁的または予防的な制限であっても、社会公共の福祉を保持するために必要不可欠な範囲内であれば、憲法29条が許容する公共の福祉による正当な制限として認められる。
重要事実
被告人が銃砲刀剣類等所持取締令(当時)および火薬類取締法に違反して物件を所持したとして起訴された事案において、被告人側は、これらの法律による所持禁止および処罰規定が憲法29条(財産権の保障)に違反すると主張して上告した。
あてはめ
銃砲刀剣類は殺人や傷害等の犯罪に供される危険性が極めて高い物件である。同令はこれらによる犯罪を未然に防止し、国民の生命・財産の安全を期する目的で制定されたものであり、原則としてその所持を禁じることは社会公共の福祉保持のために必要な制限である。この理は火薬類の所持についても同様に妥当し、その危険性に鑑みれば所持禁止による制約は正当化される。
事件番号: 昭和29(あ)2970 / 裁判年月日: 昭和33年2月12日 / 結論: 棄却
銃砲刀剣類等所持取締令第二条は憲法第二九条に違反しない。
結論
銃砲刀剣類等所持取締令および火薬類取締法の各規定は、公共の福祉に基づく合理的な制限であり、憲法29条に違反しない。
実務上の射程
財産権の制限に関する初期の判例であり、公共の福祉による制約の合理性を肯定する枠組みを示す。特に危険物等の規制については、立法目的の正当性と手段の必要性を重視する判断手法として、現代の警察目的的な規制の合憲性検討においても基礎となる射程を持つ。
事件番号: 昭和26(あ)750 / 裁判年月日: 昭和29年1月28日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】憲法37条1項が保障する「公平な裁判所」とは、裁判官が偏頗な疑いがない客観的な組織・構成を備えていることを指し、当事者の主観的な不満を基準にするものではない。 第1 事案の概要:被告人A、Bらは、その行為が占領軍政策実施に協力する適法行為であると主張したが認められなかった。また、量刑等の判断や裁判…
事件番号: 昭和49(あ)1757 / 裁判年月日: 昭和49年11月11日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】量刑において被告人の前科・前歴を考慮することは、直ちに憲法14条(法の下の平等)や39条(二重処罰の禁止)に抵触するものではなく、過度な考慮がなされない限り適法である。 第1 事案の概要:被告人が刑事事件により起訴され、下級審において有罪判決を受けた際、その量刑において被告人の有する前科および前歴…
事件番号: 昭和28(あ)5394 / 裁判年月日: 昭和29年6月21日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】共犯者の自白は、被告人自身の自白に対する補強証拠となり得る。また、客観的な物証と共犯者の供述を併せることで、被告人の自白の真実性を担保するに足りる補強証拠として認められる。 第1 事案の概要:被告人両名が銃砲刀剣類等所持取締令違反等の罪で起訴された事案において、第一審は、被告人らの自白を裏付ける証…
事件番号: 昭和57(あ)1721 / 裁判年月日: 昭和58年2月24日 / 結論: 棄却
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