判旨
他人の占有を離れた物を領得した場合、当該物が遺失物等に該当するときは占有離脱物横領罪(刑法254条)が成立する。
問題の所在(論点)
他人の占有を離れた物を領得した行為について、窃盗罪(235条)ではなく占有離脱物横領罪(254条)が成立するか、当該物の占有状態が問題となる。
規範
占有者の意思に基づかずにその占有を離れ、かつ誰の占有にも属さない物は、刑法254条にいう「遺失物、漂流物その他占有を離れた物」に該当する。
重要事実
被告人が、本件タイヤを不法に領得した。原審はこのタイヤについて、元の持ち主の占有を離れた「占有離脱物」であると認定した。
あてはめ
本件において、問題となったタイヤは、原審の認定によれば占有者の支配を離れた状態にあったと認められる。このような物は「占有を離れた物」にあたると解されるため、これを領得する行為は占有離脱物横領罪の構成要件を充足する。
結論
本件タイヤは占有離脱物であり、被告人の行為には占有離脱物横領罪が成立する。
実務上の射程
本判決は、窃盗罪と占有離脱物横領罪の区別において、被害者の占有の有無が決定的な基準となることを示唆している。答案上は、物の形状、所在場所、占有者の離脱時間等を総合考慮し、被害者の支配(占有)が及んでいないと判断される場合に、本条を適用する根拠として用いる。
事件番号: 昭和23(れ)929 / 裁判年月日: 昭和23年12月24日 / 結論: 棄却
一 原判決の認定したところに從えば、被告人は、判事の米五俵が占有を離れた他人の物であることを認識しながら、不法にこれを領得しようと決意して、自宅の藏の内に匿い込んだというのであるから、これはまさしく刑法第二五四條の横領罪に該當する。假りに所論のように、被告人が右の米の盜品であることを認識していたとしても、不法領得の意思…