少年法六〇条にいう人の資格に関する法令には、刑の執行猶予に関する刑法二五条の規定の如きはこれを包含しないものと解すべきである。
少年法第六〇条にいう「人の資格に関する法令」には刑の執行猶予に関する刑法第二五条の規定は含まれるか
少年法60条,刑法25条
判旨
少年法60条に規定する「人の資格に関する法令」には、刑の執行猶予に関する刑法25条の規定は含まれない。
問題の所在(論点)
少年法60条にいう「人の資格に関する法令」に、刑の執行猶予に関する規定(刑法25条)が含まれるか。
規範
少年法60条にいう「人の資格に関する法令」とは、特定の職業に就く資格や公認の資格等、法的な資格の有無を制限する法令を指し、刑の執行猶予の要件を定める刑法25条のような刑事手続上の恩恵的規定はこれに含まれない。
重要事実
被告人が少年時に受けた刑の言渡しを受けたことのある前科について、原審が検察官の請求により前科調書を取り調べた。弁護人は、少年法60条に基づき少年時の刑の言渡しは「人の資格に関する法令の適用」についてはその宣告を受けなかったものとみなされるべきであり、これを執行猶予の欠格事由として扱うのは違法であると主張して上告した。
あてはめ
少年法60条は、少年の将来の更生を妨げないよう、資格制限に関する法令の適用において前科の存在を消滅させる趣旨である。しかし、刑の執行猶予(刑法25条)は、裁判所が刑の執行を猶予するか否かを判断する際の基準であり、特定の資格の有無を左右する性質のものではない。したがって、少年時の前科を執行猶予の欠格事由等の判断材料に用いることは、同条の禁止する「人の資格に関する法令の適用」には当たらないと解される。
結論
少年法60条の「人の資格に関する法令」に刑法25条は含まれず、少年時の前科を執行猶予の判断に用いることは適法である。
実務上の射程
少年法60条が適用される範囲を「公私の資格制限」に限定し、刑事裁判における量刑や執行猶予の判断材料として前科を用いることを妨げないとする実務上の準拠枠組みを示すものである。
事件番号: 昭和23(れ)47 / 裁判年月日: 昭和27年11月27日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】刑法25条所定の執行猶予の要件が改正により緩和されたとしても、それは刑法6条にいう「刑の変更」には該当しない。また、執行猶予を付すか否かは事実審裁判所の裁量に属する事項である。 第1 事案の概要:被告人両名に対し、原審が諸般の事情を勘案した結果、執行猶予を付さない判断を下した。これに対し弁護人は、…