詐欺の目的をもつて「財政経済会」の名称で匿名組合を設立し、一、三四八名の出資者に対し各別に欺罔手段を施し、三、七五一回にわたり金員、株券などを騙取した場合においては、出資者一人ごとに独立の詐欺罪を構成する。
多数の出資者に対する三、七五一回にわたる詐欺罪の罪数
刑法246条1項,刑法45条
判旨
数個の強盗傷人行為について、それらが同一の意思決定に基づき、時間的場所的に近接して行われたとしても、各被害者ごとに独立した罪が成立し、併合罪(刑法45条)となる。
問題の所在(論点)
複数の被害者に対し、同一の機会に強盗傷人行為を行った場合、罪数関係はどのように解されるか。包括一罪か、あるいは併合罪(刑法45条)か。
規範
強盗傷人罪(刑法240条後段)は、個人の生命・身体という専属的法益を保護する罪である。したがって、犯行の意思が単一であり、時間的・場所的に近接して行われたとしても、被害者が異なる場合には、各被害者に対する強盗傷人罪が成立し、これらは併合罪として処理される。
重要事実
被告人らは、共謀の上、複数の被害者に対して強盗傷人行為に及んだ。原判決(二審)は、これらの判示犯行について、個別の罪が成立するものとして併合罪に該当すると判断した。これに対し、被告人側は事実誤認や法令違反を理由に上告した。なお、具体的な犯行日時や場所、被害者の人数等の詳細は、本判決文の記載からは不明である。
あてはめ
強盗傷人罪は個人の身体の安全を保護するものであるから、罪数は被害者の数によって決せられるべきである。本件において、原判決が判示した各犯行は、被害者を異にする個別の生命・身体の侵害を伴うものである。たとえ一連の意思決定に基づく犯行であっても、複数の被害者に対する侵害がある以上、一個の罪として包括されるものではない。したがって、これらを併合罪とした原審の法的評価に誤りはない。
結論
本件各犯行は併合罪に該当する。原判決の判断は正当であり、上告を棄却する。
実務上の射程
強盗傷人罪のような生命・身体を保護法益とする個人的法益に対する罪においては、原則として被害者の数だけ罪が成立することを確認する射程を有する。答案作成上は、罪数論において被害者ごとに罪を構成させた後、刑法45条前段により併合罪となることを端的に示す際に活用できる。
事件番号: 昭和37(あ)2626 / 裁判年月日: 昭和38年4月16日 / 結論: 棄却
原判決が是認した第一審判決の事実摘示は、本件二一回の詐欺の各犯罪事実につき、犯行の年月日、犯行の場所、被害者、被欺罔者、詐取した商品、その価格を、各犯罪行為毎に具体的に一覧表として記載しており、欺罔の方法は単純でありかつ同一方法であるので、これを一括して理由の本文中に記載しているのであるから、右本文と一覧表と相まつて、…