一 原審の是認した第一審判決が昭和三二年法律第一七〇号による改正前のモーターボート競走法二九条二項の賄ろ約束罪成立後その約束に基き賄ろを収受した被告人に対し同条三項を適用して判示追徴を言渡したのは正当である。 二 (註。原判決は高裁刑事判例集一二巻七号六八一頁に登載)
昭和三二年法律第一七〇号による改正前のモーターボート競走法第二九条第二項の賄ろ約束罪成立後、その約束に基き収受した賄ろと同条第三項の適用
モーターボート競走法(昭和32年法律170号による改正前のもの)29条2項,モーターボート競走法(昭和32年法律170号による改正前のもの)29条3項
判旨
賄賂約束罪の成立後、その約束に基づき実際に賄賂を収受した場合、後見的な法条(収受罪等)を適用して追徴を言い渡すことは正当である。
問題の所在(論点)
賄賂約束罪の成立後に実際に賄賂を収受した場合において、収受の事実を捉えて没収・追徴の規定(改正前モーターボート競走法29条3項)を適用することの妥当性。
規範
賄賂罪における約束と収受の関係において、約束罪が成立した後にその約束に基づき実際に賄賂の授受が行われた場合には、当該収受の態様に応じた処罰規定(本件では改正前モーターボート競走法29条3項の追徴規定等)を適用し、不法な利益を没収・追徴することが認められる。
重要事実
被告人は、昭和32年法律170号による改正前のモーターボート競走法29条2項に規定される賄賂約束罪を犯した。その後、被告人はその約束に基づき実際に賄賂を収受した。第一審判決は、この収受の事実に基づき、同条3項を適用して追徴を言い渡した。弁護人は、これを不当として上告した。
事件番号: 昭和45(あ)1939 / 裁判年月日: 昭和46年4月1日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】モーターボート競走法27条2号の規定は、同法および施行規則において勝舟投票の内容が具体的に規定されていることから、犯罪構成要件が抽象的・曖昧であるとはいえず、憲法31条に違反しない。 第1 事案の概要:上告人は、モーターボート競走法27条2号に規定される「勝舟投票に類似する行為」を処罰する規定が、…
あてはめ
被告人は既に賄賂約束罪を犯しており、その犯罪構成要件を充足している。さらに、その約束の履行として実際に賄賂を手中に収めていることから、不法な利益を保持しているといえる。したがって、約束のみならず収受の段階に至った実態を評価し、収受者に没収・追徴を科す規定を適用することは、贈賄罪の罰則体系および不法利益の剥奪という趣旨に合致すると解される。
結論
被告人に対し、改正前モーターボート競走法29条3項を適用して追徴を言い渡した第一審判決の判断は正当であり、上告は棄却される。
実務上の射程
本判決は、賄賂罪の段階的な発展(約束から収受へ)において、後続の収受行為に基づき追徴等を科すことの適法性を認めたものである。答案作成上は、没収・追徴の対象を特定する際、約束時ではなく収受時の実態を基準にできる根拠として引用し得る。ただし、罪数論(吸収関係等)の詳細は判文からは不明であるため、実務上の適用には留意を要する。
事件番号: 昭和33(あ)900 / 裁判年月日: 昭和34年7月30日 / 結論: 破棄自判
本件犯行当時の刑法一九七条の四(現行法一九七条の五)により没収または追徴しうるのは、収受した賄賂に限られたものであるが、本件犯行は、原審の是認した第一審判決の認定したとおり「……所得申告納税につき有利な取扱を受けたき趣旨の下に、その報酬として現金二万円を右奥所を介して提供し、以つて賄賂の申込をした」というのであつて、右…