判旨
確定した略式命令と同一事実について重ねてなされた略式命令は違法であり、刑事訴訟法337条1号に基づき被告人を免訴すべきである。
問題の所在(論点)
既に確定した略式命令と同一の事実について、重ねて略式命令を発することの可否、およびその場合の裁判所の措置(刑訴法337条1号の適用)。
規範
確定判決があるとき(刑事訴訟法337条1号)に該当する場合、裁判所は判決で免訴の言渡しをしなければならない。この「確定判決」には、正式裁判請求期間の徒過により確定した略式命令も含まれる。同一事実について既に確定した略式命令が存在する場合、二重起訴後の審理は許されず、後になされた命令は破棄を免れない。
重要事実
被告人は、昭和32年4月21日の道路交通取締法違反(無免許運転幇助)の事実について、同年6月22日に名古屋簡易裁判所から罰金1,500円の略式命令を受け、同年7月18日に確定した。しかし、同一の事実について同年8月28日に再度起訴がなされ、同裁判所は同年9月12日に再び同一刑の略式命令を下し、これも同年10月2日に確定した。検事総長は、この後になされた第2の略式命令について非常上告を申し立てた。
あてはめ
本件において、第2の略式命令の対象となった事実は、既に昭和32年7月18日に確定した第1の略式命令と「同一事実」である。略式命令は正式裁判の請求期間を徒過すれば確定判決と同一の効力を生じるため、刑事訴訟法337条1号にいう「確定判決を経たとき」に該当する。したがって、同一事実について重ねてなされた第2の略式命令は違法であり、被告人にとって不利益であることは明らかである。
結論
原略式命令を破棄する。被告人を免訴する。
実務上の射程
事件番号: 昭和41(さ)2 / 裁判年月日: 昭和41年5月27日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】既に確定した略式命令と同一の公訴事実について重ねて公訴が提起された場合、裁判所は刑訴法337条1号に基づき、判決で免訴を言い渡さなければならない。 第1 事案の概要:被告人は、昭和38年11月15日の無免許運転の事実について、同年12月5日に罰金6000円の略式命令が確定した。しかし、その後、検察…
一事不理再理の原則(憲法39条)を具体化した刑訴法337条1号が、略式命令の確定後にも適用されることを確認した事例。実務上、二重起訴や既判力の抵触が問題となる場面で、免訴判決を導く際の基礎的な根拠として用いる。
事件番号: 昭和41(さ)1 / 裁判年月日: 昭和41年4月28日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】既に確定した裁判と同一の犯罪事実について、重ねて公訴が提起され、これに基づき略式命令が発せられた場合、当該後の裁判は刑事訴訟法337条1号に違反する。このような二重の確定裁判が生じた事態は、被告人の不利益が明らかであるため、非常上告の手続により原判決を破棄し、免訴を言い渡すべきである。 第1 事案…
事件番号: 昭和42(さ)3 / 裁判年月日: 昭和42年6月9日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】既に確定した略式命令と同一の公訴事実について重ねて公訴が提起された場合、確定判決があるときに該当し、刑訴法337条1号により免訴を言い渡すべきである。 第1 事案の概要:被告人は、無免許運転の事実により昭和41年8月4日に罰金1万円の略式命令を受け、同年9月17日に確定した。しかし、その後検察官は…
事件番号: 昭和43(さ)3 / 裁判年月日: 昭和44年2月27日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】確定した略式命令と同一の公訴事実について重ねて公訴が提起された場合、二重処罰の禁止を定めた憲法及び刑事訴訟法の趣旨に基づき、免訴の言渡しをすべきである。 第1 事案の概要:被告人は、昭和42年8月の業務上過失致死傷罪の公訴事実につき、同年12月に松戸簡易裁判所から罰金2万5,000円の略式命令を受…