原審で支持した第一審判は本件幇助罪に適条として刑法六三条を適用している。それは当然に同六八条の規定の適用せられたことを示しているものということができる。
刑法第六三条の適用と同六八条適用の遺脱。
刑訴法335条1項,刑法62条,刑法68条
判旨
憲法37条2項は、裁判所に対し、被告人側が申請した証人を不必要と思われる場合まで悉く尋問することを義務付けるものではない。第1審で尋問済みであり、書面も同意されている等の事情があれば、控訴審が再度の尋問を不必要と判断することは憲法に違反しない。
問題の所在(論点)
被告人が申請した証人を裁判所が採用しなかったことが、憲法37条2項(証人喚問権)に違反するか、およびその判断枠組みが問題となる。
規範
憲法37条2項は、裁判所に対し、被告人または弁護人が申請した証人について、客観的に不必要と思われるものまで悉く尋問しなければならないという趣旨を包含するものではない。
重要事実
被告人側は、特定の人物を証人として申請したが、原審(控訴審)はこれを取り調べなかった。当該証人は、第1審において既に証人として尋問を受けていた。また、同人の司法警察官および検察官に対する各供述調書についても、刑事訴訟法326条に基づき同意書面として提出されていた。
事件番号: 昭和30(あ)440 / 裁判年月日: 昭和30年5月20日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】憲法37条2項は、被告人が申請した証人を裁判所がすべて取り調べることを義務付けるものではなく、裁判所が必要と認めて尋問することを決定した証人についてのみ、被告人の対問権を保障するものである。 第1 事案の概要:被告人および弁護人は、第一審または控訴審において証人の取調を申請したが、裁判所によって採…
あてはめ
本件において、申請された証人は既に第1審で証人尋問の手続きを経ており、その証言内容は記録されている。さらに、同人の供述調書も証拠同意がなされ、証拠として提出済みであった。これらの事情に照らせば、原審が当該証人を再び取り調べることは不必要であると判断したことに不合理な点は認められない。
結論
裁判所が不必要な証人の尋問を行わなかったとしても、憲法37条2項には違反しない。したがって、原審の判断に違憲性は認められず、上告は棄却される。
実務上の射程
刑事訴訟における証人採用の裁量(刑訴法295条等)と憲法37条2項の関係を明示した判例である。第1審で証拠調べが尽くされている場合に、控訴審での証拠申請を「必要性なし」として却下する判断の正当化根拠として引用できる。また、憲法37条2項が「絶対的な召喚権」を保障するものではないことを示す際にも有用である。
事件番号: 昭和27(あ)1200 / 裁判年月日: 昭和28年8月7日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】裁判所が証人申請を必要がないものと認めて却下することは、憲法37条2項に反しない。自白の任意性を既に調査し、任意になされたものと認めた場合には、証人尋問の必要性を否定することができる。 第1 事案の概要:被告人の自白を内容とする複数の供述調書について、第一審裁判所はその任意性を調査し、任意になされ…
事件番号: 昭和28(あ)3984 / 裁判年月日: 昭和30年6月21日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】裁判所が裁判所外で証人尋問を行う際、被告人が拘禁中であっても、弁護人に立会いの機会を与え、被告人の審問権を実質的に害しない措置を講じているならば、被告人自身を立ち会わせなくても憲法37条2項に違反しない。 第1 事案の概要:第一審裁判所は、公判期日において証人2名を裁判所外で尋問することを決定し、…