所論は憲法八二条違反をいうけれども、本件における決定(付審判請求棄却決定に対する抗告を棄却する決定)の如きは同条にいわゆる「裁判の対審」に当らないことは当裁判所の判例(昭和二三年(つ)第二五号、同年一一月八日大法廷決定、集二巻一二号一四九八頁参照)の趣旨に徴し明らかであるから右違憲の主張はその前提を欠くものである。
付審判請求棄却決定に対する抗告棄却決定と憲法第八二条にいう「裁判の対審」
憲法82条,刑訴法262条,刑訴法266条,刑訴法419条,刑訴法426条,刑訴法433条
判旨
憲法82条1項が定める裁判の対審公開の原則は、刑事訴訟における決定手続には適用されない。本件のような決定手続は同条にいう「裁判の対審」に当たらないため、非公開で行われても憲法違反とはならない。
問題の所在(論点)
刑事訴訟における「決定」による裁判手続が、憲法82条1項にいう「裁判の対審」に該当し、公開を必要とするか。
規範
憲法82条1項にいう「裁判の対審」とは、権利義務の存否を確定するための口頭弁論や公判手続を指す。したがって、これに該当しない決定手続については、対審公開の原則が適用されず、非公開の審理によって裁判を行うことが許容される。
重要事実
本件は、刑事訴訟における何らかの決定(具体的な決定内容は判決文からは不明)に対し、その手続が憲法82条の定める公開原則に違反するとして特別抗告がなされた事案である。抗告人は、当該決定が対審の公開を欠いている点に憲法違反があると主張した。
事件番号: 昭和45(し)83 / 裁判年月日: 昭和45年12月24日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】付審判請求事件において、第一審が確定した事実関係に基づき公務員職権濫用罪が成立しないと判断したことは正当であり、憲法違反等の主張は特別抗告の適法な理由にならない。 第1 事案の概要:本件は付審判請求事件である。第一審において、被請求人らによる公務員職権濫用罪の成立を否定する決定がなされた。これに対…
あてはめ
最高裁大法廷判決(昭和23年11月8日)の趣旨に照らせば、本件で争われているような決定手続は、憲法82条が想定する「裁判の対審」には含まれない。したがって、公開の法廷で審理・宣告を行う必要はなく、非公開の手続によって判断を下すことが可能である。抗告人が主張する違憲の論理は、その前提となる対審への該当性を欠いている。
結論
本件決定手続は憲法82条にいう「裁判の対審」に当たらないため、公開原則に反するとの主張には理由がなく、抗告は棄却される。
実務上の射程
刑事手続において、判決ではなく決定(例:証拠決定、勾留決定、抗告棄却決定等)によって判断される事項については、憲法上の対審公開の要請が及ばないことを示す。答案作成上は、非公開で行われる各種の中間的決定や付随的裁判の合憲性を基礎づける際に活用できる。
事件番号: 昭和55(し)101 / 裁判年月日: 昭和55年9月12日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】準起訴手続(付記決定手続)の審理及び裁判は、憲法82条にいう「裁判の対審及び判決」にはあたらず、公開を要しない。 第1 事案の概要:抗告人は、刑事訴訟法に基づく準起訴手続(付記決定手続)の審理及び裁判が非公開で行われたことについて、憲法82条の公開原則に違反すると主張して特別抗告を申し立てた。 第…
事件番号: 昭和52(し)105 / 裁判年月日: 昭和52年8月25日 / 結論: 棄却
いわゆる付審判の決定に対する特別抗告の申立は、不適法である。
事件番号: 昭和43(し)25 / 裁判年月日: 昭和43年5月22日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】刑事訴訟法433条に基づく特別抗告において、憲法違反を主張する場合には、原決定のいかなる点がどのように憲法条項に違反するかを具体的に主張しなければならず、抽象的な主張に留まるものは適法な抗告理由にあたらない。 第1 事案の概要:申立人は、自身が告訴した公務員職権濫用被疑事件について検察官がなした不…
事件番号: 昭和42(し)40 / 裁判年月日: 昭和42年8月28日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】付随的申判請求(付記:検察審査会法上の用語との混同を避けるため、通常は「付審判請求」と称される)を棄却する決定に対して、直接最高裁判所に特別抗告を申し立てることは、刑事訴訟法433条の要件を備えず不適法である。 第1 事案の概要:申立人は、旭川警察署の氏名不詳の警察官による特別公務員暴行の事実につ…