準起訴手続の審理及び裁判と憲法八二条
憲法82条,刑訴法262条,刑訴法265条
判旨
準起訴手続(付記決定手続)の審理及び裁判は、憲法82条にいう「裁判の対審及び判決」にはあたらず、公開を要しない。
問題の所在(論点)
検察官の不起訴処分に対する不服申し立て等に伴う「準起訴手続」の審理及び裁判が、憲法82条が公開を要求する「裁判の対審及び判決」に該当するか。
規範
憲法82条が公開を義務付ける「裁判の対審及び判決」とは、権利義務の存否を終局的に確定する手続を指す。刑事手続においては、公訴の提起後の公判期日における審理及び判決を意味し、これに付随・予備する手続は必ずしも同条の対象とはならない。
重要事実
抗告人は、刑事訴訟法に基づく準起訴手続(付記決定手続)の審理及び裁判が非公開で行われたことについて、憲法82条の公開原則に違反すると主張して特別抗告を申し立てた。
あてはめ
準起訴手続は、検察官の不起訴処分の当否を審査し、付議決定(公訴提起とみなす決定)を行うか否かを判断する予備的・付随的な手続である。これは、有罪・無罪を直接判断する刑事訴訟の本案(公判手続)そのものではないため、憲法82条の直接の適用範囲外と解される。したがって、本件審理が非公開であっても憲法違反とはならない。
事件番号: 昭和32(し)57 / 裁判年月日: 昭和32年12月23日 / 結論: 棄却
所論は憲法八二条違反をいうけれども、本件における決定(付審判請求棄却決定に対する抗告を棄却する決定)の如きは同条にいわゆる「裁判の対審」に当らないことは当裁判所の判例(昭和二三年(つ)第二五号、同年一一月八日大法廷決定、集二巻一二号一四九八頁参照)の趣旨に徴し明らかであるから右違憲の主張はその前提を欠くものである。
結論
本件各抗告を棄却する。準起訴手続の審理等は憲法82条にいう「裁判の対審及び判決」にあたらない。
実務上の射程
憲法82条の公開原則の「射程」を論じる際、本案前の予備的手続や非訟事件等に公開義務が及ばないことを示す根拠として活用できる。刑事訴訟法上の付記決定手続の合憲性を支える重要判例である。
事件番号: 昭和52(し)105 / 裁判年月日: 昭和52年8月25日 / 結論: 棄却
いわゆる付審判の決定に対する特別抗告の申立は、不適法である。
事件番号: 昭和45(し)83 / 裁判年月日: 昭和45年12月24日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】付審判請求事件において、第一審が確定した事実関係に基づき公務員職権濫用罪が成立しないと判断したことは正当であり、憲法違反等の主張は特別抗告の適法な理由にならない。 第1 事案の概要:本件は付審判請求事件である。第一審において、被請求人らによる公務員職権濫用罪の成立を否定する決定がなされた。これに対…
事件番号: 昭和55(し)141 / 裁判年月日: 昭和55年11月21日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】付審判請求を棄却する決定が確定した後になされた特別抗告は、不服申立の利益を欠く不適法なものである。 第1 事案の概要:申立人は付審判請求を行ったが、昭和55年2月19日に旭川地方裁判所が請求棄却の決定をした。これに対し申立人が抗告したが、同年4月3日に札幌高等裁判所が抗告を棄却した。この抗告棄却決…
事件番号: 昭和42(し)17 / 裁判年月日: 昭和42年4月11日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】付審判請求書において、被疑者、犯罪事実、および適式な証拠の記載がない場合は、刑事訴訟法262条2項および刑事訴訟規則169条所定の方式に違反し不適法となる。 第1 事案の概要:抗告人は、地方裁判所に対し付審判請求を行ったが、提出された請求書には被疑者が誰であるかの特定がなく、具体的な犯罪事実も記載…