判旨
付審判請求書において、被疑者、犯罪事実、および適式な証拠の記載がない場合は、刑事訴訟法262条2項および刑事訴訟規則169条所定の方式に違反し不適法となる。
問題の所在(論点)
刑事訴訟法262条に基づく付審判請求(準起訴手続)において、請求書に被疑者の特定、犯罪事実の記載、および証拠の記載が欠けている場合の適法性。
規範
付審判請求は、公訴の提起に代わる手続としての性質を有することから、付審判請求書には被疑者の特定、犯罪事実の明示、および適式な証拠の記載を要する。これらを書面に欠く請求は、刑事訴訟法262条2項および刑事訴訟規則169条が定める適式な方式に違反する不適法なものとして却下される。
重要事実
抗告人は、地方裁判所に対し付審判請求を行ったが、提出された請求書には被疑者が誰であるかの特定がなく、具体的な犯罪事実も記載されていなかった。さらに、立証に供すべき適式な証拠の記載も欠如していた。鹿児島地方裁判所はこれを不適法として排斥し、原審もその決定を維持したため、抗告人が最高裁へ抗告した。
あてはめ
本件における請求書には、刑事訴訟法262条2項が求める犯罪事実の記載が全くなく、被疑者も特定されていない。また、刑事訴訟規則169条が求める証拠の記載も欠いている。これらの欠陥は、裁判所が付審判の要否を判断し、検察官に代わって公訴提起の可否を決定する手続の前提を欠くものである。したがって、本件請求は法定の方式を著しく逸脱しているといえる。
結論
本件付審判請求は方式違反により不適法であり、これを棄却した原決定は相当である。
実務上の射程
付審判請求の適法性を論じる際、請求書における「事実の特定」と「証拠の明示」が必須の有効要件であることを示す際の根拠となる。実務上、請求書の不備が補正不能な程度であれば、本判例を引用して直ちに不適法却下されることになる。
事件番号: 昭和42(し)40 / 裁判年月日: 昭和42年8月28日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】付随的申判請求(付記:検察審査会法上の用語との混同を避けるため、通常は「付審判請求」と称される)を棄却する決定に対して、直接最高裁判所に特別抗告を申し立てることは、刑事訴訟法433条の要件を備えず不適法である。 第1 事案の概要:申立人は、旭川警察署の氏名不詳の警察官による特別公務員暴行の事実につ…
事件番号: 昭和38(し)42 / 裁判年月日: 昭和38年12月25日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】付審判請求書においては、裁判所の審判に付せられるべき犯罪事実を具体的に明示し、かつその事実を裏付ける証拠を記載しなければならない。これらの記載を欠く付審判請求は不適法であり、棄却を免れない。 第1 事案の概要:申立人が、刑事訴訟法262条に基づき付審判請求を行った。しかし、当該請求書には裁判所の審…
事件番号: 昭和46(し)5 / 裁判年月日: 昭和46年2月5日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】付審判請求において、請求書に証拠の記載を欠き、かつ検察官を経由せず直接裁判所に提出された場合は、刑事訴訟法262条2項及び同規則169条に定める方式に違反し、不適法となる。 第1 事案の概要:申立人は、付審判請求を行うに際し、以下の態様で手続を行った。第一に、提出した本件付審判請求書には証拠の記載…
事件番号: 昭和48(し)42 / 裁判年月日: 昭和49年3月13日 / 結論: その他
本件付審判請求事件の審理手続において裁判所が定めた審理方式のうち、請求人代理人に対し検察官から裁判所に送付された一件記録の閲覧謄写を許可する部分は、本件事案(判文参照)のもとでは、裁判所に許された裁量の範囲を逸脱し違法である。
事件番号: 昭和43(し)25 / 裁判年月日: 昭和43年5月22日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】刑事訴訟法433条に基づく特別抗告において、憲法違反を主張する場合には、原決定のいかなる点がどのように憲法条項に違反するかを具体的に主張しなければならず、抽象的な主張に留まるものは適法な抗告理由にあたらない。 第1 事案の概要:申立人は、自身が告訴した公務員職権濫用被疑事件について検察官がなした不…