一 本件ビルマ米が所論のごとく食糧管理法第四条第一項後段による払下でなく、所論通達に基く払下であるとしても、これをもつて食糧管理法の統制の枠外に置かれて自由な取引を許容されるものと解することはできない。 二 註、通達=昭和二五年四月一三日付食糧庁長官発二五食糧第三〇二三号「政府及食糧公団所有綜合配給不適格食糧の処理に関する件」 昭和二六年九月一日付同長官発二六食糧第五六三五号「政府所有綜合配給不適食糧の処理について」
通達に基き払下げられたビルマ米と食糧管理法の適用
食糧管理法4条1項,食糧管理法2条,食糧管理法31条,食糧庁長官通達
判旨
食糧管理法2条にいう「米穀」に該当する限り、ビルマ米(輸入米)や黄変米であっても同法の統制から除外されず、その無許可取引には同法31条等の罰則規定が適用される。
問題の所在(論点)
食糧管理法2条に規定される「米穀」の範囲、および輸入米や通達に基づき払い下げられた米穀が同法の統制対象(同法31条等の処罰対象)に含まれるか。
規範
食糧管理法2条の「米穀」に該当する以上、たとえ特定の通達等に基づき払い下げられたものであっても、同法の統制の枠外に置かれ、自由な取引を許容されるものではない。したがって、同法31条、9条、施行令8条、施行規則39条等の適用は妨げられない。
重要事実
被告人らは、輸入されたビルマ米(本件黄変米を含む)を取引したが、これが食糧管理法上の無許可取引に該当するとして起訴された。弁護人は、当該米穀が食糧管理法4条1項後段による払下ではなく通達に基づく払下であること、および黄変米であること等を理由に、同法の統制対象外であると主張して上告した。
あてはめ
本件ビルマ米は、食糧管理法2条の定義する「米穀」に該当すると認められる。通達に基づく払下であっても、同法の目的である食糧の需給・価格安定の必要性に鑑みれば、法による取引統制の枠外に置かれるべき合理的な理由は存在しない。また、黄変米であっても「米穀」としての性質を失うものではないため、これらを無許可で取引する行為は、同法31条等の処罰規定の適用を受ける。よって、原判決の法令適用に誤りはない。
結論
輸入米や黄変米であっても「米穀」に該当する以上、食糧管理法による取引規制の対象となり、違反行為には同法の罰則が適用される。
実務上の射程
行政法規の適用範囲に関する判例であり、法律に定義された用語(「米穀」)に該当する限り、行政上の運用(通達)や現物の個別的状態にかかわらず、原則として法による規制が及ぶことを示した。答案上は、法令の目的と文言解釈の整合性を論じる際の補強材料となる。
事件番号: 昭和30(あ)4060 / 裁判年月日: 昭和31年7月26日 / 結論: 棄却
本件被告人のごとく「販売又は消費の目的をもつて政府、食糧公団又は販売業者から買い受けた者」は、所論規定の新設(昭和二五年一一月一五日)以後は、農林大臣又は都道府県知事の指示に基づき売り渡す場合は適法とされるに至つたが、右指示に基づかないで売り渡す場合は、食糧管理法施行令一〇条違反の罪が成立することは所論のとおりである。…