判旨
強姦(現:強制性交等)を目的とした監禁であっても、それがいまだ強姦のための暴行・脅迫行為と認められない場合には、監禁罪は強姦罪の構成要件の一部を構成せず、独立した犯罪として成立する。
問題の所在(論点)
強姦を目的として行われた監禁行為が、強姦罪の構成要件(暴行・脅迫)の一部に含まれると評価されるか、それとも独立した監禁罪として成立するのか。
規範
監禁行為が強姦の目的でなされた場合であっても、当該監禁がいまだ強姦罪の構成要件要素である「暴行」または「脅迫」としての実質を備えていないときは、強姦罪に吸収されず、別個の監禁罪を構成する。
重要事実
被告人は強姦を窮局の目的として被害者を監禁したが、その監禁行為は強姦に及ぶための手段として先行して行われたものであった。弁護人は、この監禁が姦淫の手段としての脅迫行為に該当し、強姦罪の構成要件に含まれるべきであると主張して上告した。
あてはめ
本件における監禁は、強姦を究極の目的としてなされたものではある。しかし、その態様を検討すると、いまだ強姦罪の実行着手を示す暴行・脅迫行為とは認められない。したがって、当該監禁は強姦罪の構成要件たる事実に属するものではなく、独立した構成要件に該当すると評価される。
結論
本件監禁は強姦罪の構成要件の一部とはならず、独立して監禁罪が成立する。
実務上の射程
目的と手段の関係にある犯罪であっても、先行する行為が後行する犯罪の構成要件(実行行為)そのものに含まれない限り、吸収関係にはならず、併合罪(または牽連犯)として処理すべきとする判断枠組み。罪数論における構成要件の重なりを判断する際の指標となる。
事件番号: 昭和27(あ)3591 / 裁判年月日: 昭和28年12月15日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】強姦罪(現・強制性交等罪)の実行の着手は、強姦の意思をもって、被害者の抗拒を著しく困難ならしめる程度の暴行または脅迫を開始した時点において認められる。 第1 事案の概要:被告人は、田圃で草取りをしていたAを目撃して劣情を催し、姦淫しようと考え、Aの手首や肩を掴んで約15メートル離れたくぼ地に引きず…
事件番号: 昭和41(あ)2135 / 裁判年月日: 昭和42年2月21日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】自動車を用いて監禁し、その車内等で暴行・脅迫を加えて強姦・致傷に至った場合、監禁行為と強姦致傷行為はそれぞれ独立した行為として評価され、監禁罪と強姦致傷罪(当時)の併合罪となる。 第1 事案の概要:被告人は、被害者を自動車に押し込み、不法に監禁した。その後、車内等において強姦の目的で別途暴行および…