保安庁第一幕僚監部厚生課長が昭和二三年六月三〇日法律第六九号(旧)国家公務員共済組合法七条により同時に保安庁共済組合の実務主掌者として行う同組合の事務は刑法七条にいう公務に属するものと解すべきである。
保安庁第一幕僚監部厚生課長が保安庁共済組合の実務主掌者として行う同組合の事務は刑法第七条にいう公務に属するか。
刑法7条,刑法197条,(旧)国家公務員共済組合法(昭和23年6月30日法律第69号)7条,保安庁第一幕僚監部組織規程(昭和27年総理府令第45号)19条
判旨
保安庁第一幕僚監部厚生課長が国家公務員共済組合法に基づき共済組合の実務主掌者として行う事務は、刑法7条にいう「公務」に該当する。また、犯罪に対し実刑を言い渡すことは事実審裁判所の自由裁量に属し、憲法13条に違反しない。
問題の所在(論点)
国家公務員が官署に附随する共済組合の実務主掌者として行う事務が、刑法7条の「公務」に該当するか。また、適正な手続に基づく実刑判決が憲法13条の幸福追求権等に違反するか。
規範
刑法上の「公務」とは、公務員がその職務権限に基づいて行う事務を指す。国家公務員が特別法の規定に基づき、所属官署の付随的組織(共済組合等)の実務主掌者として執り行う事務であっても、それが法令上の根拠に基づくものである限り、同条にいう公務に含まれる。
重要事実
被告人Aは、保安庁(当時)第一幕僚監部厚生課長の職にあった。Aは、旧国家公務員共済組合法7条に基づき、保安庁共済組合の実務主掌者としての地位を兼ねていた。Aが当該共済組合の事務を行う過程で何らかの犯罪行為(判決文からは具体的な罪名は特定できないが、職務関連の犯罪と推認される)に及んだため、その事務が刑法上の「公務」にあたるか、また実刑判決が憲法13条に抵触しないかが争点となった。
あてはめ
保安庁第一幕僚監部厚生課長という公務員の地位にある者が、法律(旧国家公務員共済組合法)の規定によって直接的に実務主掌者として指定され行う事務は、単なる私的な事務ではなく、国家公務員としての職務権限に密接に関連する公的な性質を有する。したがって、これに基づき行われる共済組合の事務は刑法7条の公務に属するといえる。また、憲法13条が保障する自由や権利は公共の福祉による制約を受け、憲法31条は国家の正当な刑罰権を認めているため、諸般の事情を考慮した実刑判決は裁判所の裁量権の範囲内である。
結論
保安庁共済組合の実務主掌者として行う事務は刑法上の公務にあたり、被告人に対して実刑を言い渡した原判決に憲法違反や法令の解釈誤りはない。
実務上の射程
公務員が本来の官職に付随して別の団体の役員等を兼任する場合において、その活動が法令に基づくときは「公務」に含まれることを示した。職権濫用罪や贈収賄罪における「職務」の範囲を検討する際の判断基準として活用できる。
事件番号: 昭和28(あ)4191 / 裁判年月日: 昭和30年12月3日 / 結論: 棄却
一 刑法第七条にいう「法令により公務に従事する職員」とは、公務に従事する職員で、その公務に従事することが法令の根拠にもとずくものを意味し、単純な機械的、肉体的労務に従事するものはこれに含まれないけれども、当該職制等のうえで「職員」と呼ばれている身分をもつかどうかは、あえて問うところではない。 二 特別調達庁第一六条によ…
事件番号: 昭和37(あ)79 / 裁判年月日: 昭和39年6月30日 / 結論: 棄却
丸亀市モーターボート整備員(判文参照)は、刑法第七条の「法令ニ依リ公務ニ従事スル職員」に当る。