丸亀市モーターボート整備員(判文参照)は、刑法第七条の「法令ニ依リ公務ニ従事スル職員」に当る。
刑法第七条の公務員に当るとされた事例。
地方自治法172条2項,地方公務員法3条3項3号,刑法7条
判旨
地方自治法に基づき任命された非常勤の嘱託員であっても、その担当事務が単なる機械的肉体的労働にとどまらず、一般事務に及ぶ場合には、刑法7条1項の公務員に該当する。
問題の所在(論点)
地方自治体から任命された非常勤嘱託員であって、特別職の地方公務員に該当する者が、刑法7条1項の「公務員」に含まれるか。
規範
刑法7条1項にいう「法令により公務に従事する職員」とは、国又は地方公共団体の職員その他法令により公務に従事する議員、委員その他の職員をいう。地方公務員法上の特別職の職員であっても、その担当事務が単なる機械的、肉体的労働ではなく、行政目的に資する一般事務を含む場合には、同条の公務員に該当する。
重要事実
被告人Aは、丸亀市長によって地方自治法172条2項に基づき、地方公務員法3条3項3号の非常勤嘱託員(特別職の職員)として任命された。Aの職務内容は、市所有のモーターボートのエンジン整備に必要な部品・資材の購入計画の策定、およびその購入に関する業者との交渉等であった。
あてはめ
被告人Aは、任命権を有する市長から適法に任命された地方公共団体の職員である。また、その職務は単なる機械的肉体的労働にとどまるものではない。具体的には、モーターボート整備のための資材購入計画の策定や業者との交渉という、市の事務遂行に直接関連する「一般事務」を担当していた。したがって、Aの職務遂行は「法令により公務に従事する」ものと評価できる。
結論
被告人Aは刑法7条1項の公務員に該当する。
実務上の射程
本判決は、非常勤や嘱託といった形式的な身分にかかわらず、職務内容が実質的に公務性を有するか(一般事務を含むか)によって公務員性を肯定する。収賄罪等の職務犯罪の主体を判断する際、事務補助者や非常勤職員の公務員性を検討する基準として活用できる。
事件番号: 昭和28(あ)4191 / 裁判年月日: 昭和30年12月3日 / 結論: 棄却
一 刑法第七条にいう「法令により公務に従事する職員」とは、公務に従事する職員で、その公務に従事することが法令の根拠にもとずくものを意味し、単純な機械的、肉体的労務に従事するものはこれに含まれないけれども、当該職制等のうえで「職員」と呼ばれている身分をもつかどうかは、あえて問うところではない。 二 特別調達庁第一六条によ…
事件番号: 昭和39(あ)1716 / 裁判年月日: 昭和40年10月19日 / 結論: 棄却
刑法第一九七条にいう公務員の職務とは、公務員がその地位にもとづいて取り扱うすべての執務をいい、独立の決裁権があることを必要としないものと解するのが相当である。