一 刑訴第二七三条第二項の規定は、憲法第三二条に違反するというだけであつて、何ら原判決に対する不服の理由を示していない主張は、適法な上告理由と認められない。 二 刑訴二七三条二項は違憲でない。
一 憲法違反の主張と認められない一事例 二 刑訴法第二七三条第二項の合憲性
刑訴法273条2項,刑訴法405条,刑訴法273条2項,憲法32条
判旨
訴訟費用の負担に関する定めは憲法が関知しない立法政策の事項であり、逮捕手続の違法は原則として判決に影響を及ぼさない。
問題の所在(論点)
1. 訴訟費用を被告人に負担させる規定(旧刑訴法273条2項)は憲法32条に違反するか。2. 逮捕手続の違法は、判決に影響を及ぼす事由として上告理由となり得るか。
規範
1. 訴訟費用を誰に負担させるかは立法政策の問題であり、法律をもって適宜規定することが可能である。2. 逮捕手続に違法があったとしても、そのこと自体は特段の事情がない限り判決そのものには影響を及ぼさない。
重要事実
被告人は逮捕手続の違法を主張し、また刑訴法181条(旧273条2項)による訴訟費用の被告人負担が憲法32条に違反すると主張して上告した。原判決において逮捕の違法に関する判断遺脱があったか、および訴訟費用負担規定の合憲性が争点となった。
あてはめ
1. 訴訟費用の負担の問題は憲法の保障する裁判を受ける権利(憲法32条)とは直接関係がなく、立法府の裁量に委ねられた事項であるため、合憲である。2. 逮捕という身分拘束手続の適否は、公訴提起後の実体判決を左右するものではない。したがって、仮に逮捕手続に違法があり、原判決がその点への判断を遺脱していたとしても、判決に影響を及ぼすことが明白とはいえない。
結論
本件上告を棄却する。訴訟費用負担規定は合憲であり、逮捕手続の違法は判決に影響を及ぼさないため、適法な上告理由に当たらない。
実務上の射程
手続的違法(特に勾留・逮捕)が実体判決(有罪・無罪や量刑)を覆す理由にならないという「判決に影響を及ぼすべきこと(刑訴法379条・405条等)」の判断枠組みを示す際に引用される。訴訟費用については立法裁量を広く認める根拠となる。
事件番号: 昭和34(あ)2422 / 裁判年月日: 昭和35年4月5日 / 結論: 棄却
裁判所法第三三条第二項の規定が、窃盗罪等につき例外的に簡易裁判所に管轄を認めていても、憲法第一四条第一項に違反するものではない。
事件番号: 昭和56(あ)1640 / 裁判年月日: 昭和57年9月22日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】住居侵入及び器物損壊の被疑事実による逮捕、勾留、勾留期間延長の適法性は、事案の具体的な状況に基づき判断されるべきであり、本件においては手続上の違法は認められない。 第1 事案の概要:被告人は、住居侵入および器物損壊の被疑事実により逮捕・勾留され、さらに勾留期間の延長が行われた。弁護人は、これらの一…
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一 共犯者たる共同被告人が数名あつて、いずれも、公判で、公訴事実を全面的に否認している場合、検察官が証拠として同被告人等の検察官に対する供述調書を一括して取調請求をしたときは、特段の事情がない限り、同供述調書は、刑訴第三二二条第一項および第三二一条第一項第二号により、当該被告人に対する関係のみならず、相被告人等に対する…