一 この点に関する原判示は正当である。 二 (原判決の要旨)覚せい剤を譲り受け、後にこの同じ覚せい剤を他に譲り渡せば、これは目的物は同一であつても覚せい剤の譲受と譲渡の各法益を侵犯するものであつて、その二罪が成立するものである。所論の如く譲渡をもつて不可罰的事後処分とは認められない。
覚せい剤を譲り受け、その後同じ覚せい剤を他に譲り渡した場合。
覚せい剤取締法(昭和30年法律171号による改正前のもの)17条,覚せい剤取締法(昭和30年法律171号による改正前のもの)41条1項4号,刑法45条
判旨
勾留後10日目になされた自白について、事案の性質に照らし、憲法38条2項にいう「不当に長く拘禁された後の自白」には当たらないと判断した。
問題の所在(論点)
勾留開始から10日を経過した時点での自白が、憲法38条2項に規定される「不当に長く拘禁された後の自白」として、一律に証拠能力を否定されるか。また、その判断にあたって考慮すべき事情は何か。
規範
憲法38条2項及び刑訴法319条1項は、強制、拷問、脅迫による自白又は「不当に長く抑留若しくは拘禁された後」の自白の証拠能力を否定する。ここにいう不当に長い拘禁とは、身柄拘束の期間が、事案の軽重、難易、その他の具体的事情を考慮して、真実の自白を得るために合理的に必要とされる限度を超えて長期にわたる場合を指す。
重要事実
被告人Aは検察官に対し自白の供述を行い、その供述調書が第1審において証拠として採用された。弁護人は、当該自白が勾留後10日目になされたものであり、不当に長い拘禁後の自白であるとして、証拠能力の欠如及び憲法38条2項違反を主張して上告した。なお、自白に至るまでの具体的な取調べ状況や強制の有無等については、記録上これらを認めるに足りる事跡はないとされた。
あてはめ
被告人Aの自白が勾留後10日目になされたものであるとしても、本件の事案の内容(事案の軽重や複雑性等)に照らして検討すると、大法廷判例の趣旨に鑑み、直ちに不当に長い拘禁によるものとは評価できない。記録上、強制や強要の事実は認められず、10日間という期間は、事案の真相解明のために必要な合理的範囲内にとどまるものと解される。
結論
本件自白は憲法38条2項にいう「不当に長く拘禁された後の自白」には当たらないため、証拠能力は認められ、違憲の主張は採用できない。
実務上の射程
自白の任意性(特に拘禁期間の点)が争点となる事案での引用に適する。単なる日数の経過のみで不当性が決まるのではなく、事案の性質に即して個別具体的に判断すべきという枠組みを示す。答案上は、拘束期間の長さと事案の複雑性・重大性を対比させて論証する際の根拠となる。
事件番号: 昭和48(あ)2108 / 裁判年月日: 昭和49年3月15日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】憲法38条2項に基づき、自白が不当に長く抑留または拘禁された後のものであるとして証拠能力が否定されるためには、当該抑留・拘禁と自白との間に因果関係が認められることを要する。 第1 事案の概要:被告人Bは、一定期間の身体拘束を受けた後に犯行事実を自供した。弁護人は、この自白が憲法38条2項にいう「不…
事件番号: 昭和29(あ)270 / 裁判年月日: 昭和30年12月26日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】不当に長い拘禁後の自白(憲法38条2項、刑訴法319条1項)に該当するか否かは、勾留延長の手続の適法性や、自白強要の形跡、証拠同意の有無等の諸事情を総合して判断すべきである。 第1 事案の概要:被告人Aは、昭和27年2月1日に逮捕、同月4日に勾留され、同月22日まで勾留延長された後、同日に起訴され…