判旨
密輸出入や不法出国等の犯罪行為の後に、対象地域が「外国」とみなされなくなった場合、犯罪後の法令により刑が廃止されたときに該当し、免訴すべきである。
問題の所在(論点)
犯罪行為の対象となっていた地域が、その後の法令改正により「外国」に該当しなくなった場合、刑事訴訟法337条2号の「犯罪後の法令により刑が廃止されたとき」に該当し、免訴事由となるか。
規範
行為当時は犯罪を構成していた行為であっても、その後の法令の改廃により、当該行為の対象や性質が犯罪の構成要件を充足しなくなり、可罰性が失われた場合には、刑事訴訟法337条2号にいう「犯罪後の法令により刑が廃止されたとき」に該当する。
重要事実
被告人らは、昭和28年9月から11月にかけて、当時の関税法および出入国管理令において「外国」とみなされていた地域(奄美群島)との間で、免許を受けずに物品を密輸出入し、また不法に出国したとして起訴された。しかし、判決前の同年12月25日、政令および法務省令の施行により、当該地域は「外国」とみなされず、日本本邦の地域とされるに至った。
あてはめ
本件各行為の当時、奄美群島は関税法および出入国管理令の適用上「外国」とみなされていた。しかし、その後の政令等の施行により、当該地域は本邦の一部として扱われることとなった。これにより、同日以降は本件の密輸出入や不法出国の各行為は犯罪を構成しなくなり、行為の可罰性が失われたといえる。したがって、これは実質的に刑の廃止があったものと解される。
結論
被告人らの行為は犯罪後の法令により刑が廃止されたときに該当するため、原判決を破棄し、各被告人を免訴する。
実務上の射程
法令改正が単なる事実上の変更ではなく、法律的評価の変更(可罰性の消滅)を伴う場合に本条が適用される。答案上は、構成要件の前提となる法的地位の変更が「刑の廃止」に準ずるか否かの論述において、本判例の論理を援用できる。
事件番号: 昭和28(あ)4440 / 裁判年月日: 昭和32年12月13日 / 結論: 破棄自判
【結論(判旨の要点)】犯行当時に関税法上の「外国」とみなされていた地域が、その後の法令により本邦の地域となり外国とみなされなくなった場合、当該行為は「犯罪後の法令により刑が廃止されたとき」(刑法6条、刑訴法337条2号)に該当する。 第1 事案の概要:被告人らは昭和25年、当時関税法の適用上「外国」とみなされていた南西…