関税法違反被告事件において、検察官押収中の沒収可能物件につき滅失等の虞がある場合には、当該被告事件の係属する裁判所の許可を得てその物件の換価処分をすることができる。
判旨
犯罪後の法令改廃により、特定の地域に対する貨物の輸出入に税関の免許を要しないこととなった場合、当該行為の可罰性は失われ、刑事訴訟法337条2号にいう「犯罪後の法令により刑が廃止されたとき」に該当する。
問題の所在(論点)
行為当時に犯罪とされていた特定の地域に対する無免許輸出入行為が、その後の法令等の変更により規制対象外となった場合、刑事訴訟法337条2号の「犯罪後の法令により刑が廃止されたとき」に該当し、免訴すべきか。
規範
刑事訴訟法337条2号の「犯罪後の法令により刑が廃止されたとき」とは、単なる事実関係の変動ではなく、法令の改廃によって当該行為に対する評価が変わり、その可罰性が否定されるに至った場合を指す。
重要事実
被告人らは昭和25年、税関の免許を受けずに本邦から南西諸島へ貨物を密輸出し、また同島から本邦へ貨物を密輸入したとして、関税法違反(及びその幇助)の罪で起訴された。しかし、その後の昭和28年12月25日以降、当該地域との間での貨物の輸出入に税関の免許を要するとする規制が解かれ、当該行為を処罰する根拠が失われるに至った。
あてはめ
本件における南西諸島(奄美群島等)への貨物輸出入に関する規制の変更は、単なる事実上の変更にとどまらず、当該行為を犯罪として処罰する根拠自体を失わせるものである。したがって、昭和28年の法令改廃以降、本件公訴事実に示されたような行為は何ら犯罪を構成しないものとなり、その可罰性は失われたと解される。これは「刑が廃止されたとき」にあたる。
結論
被告人らの行為は、犯罪後の法令により刑が廃止されたときに該当するため、刑事訴訟法337条2号に基づき、免訴を言い渡すべきである。
実務上の射程
法令改廃による可罰性の消滅(免訴)の判断枠組みを示す典型例である。答案上は、限時法の失効や法改正に伴う処罰規定の削除が「事実の変動」か「法的評価の変更(反省的考慮)」かを論じる際の前提として活用できる。本判決は、可罰性が失われた事態を重視して免訴を認めている。
事件番号: 昭和32(あ)1217 / 裁判年月日: 昭和32年12月13日 / 結論: 破棄自判
【結論(判旨の要点)】密輸出入や不法出国等の犯罪行為の後に、対象地域が「外国」とみなされなくなった場合、犯罪後の法令により刑が廃止されたときに該当し、免訴すべきである。 第1 事案の概要:被告人らは、昭和28年9月から11月にかけて、当時の関税法および出入国管理令において「外国」とみなされていた地域(奄美群島)との間で…