判旨
起訴状に不適切な記載がある場合であっても、直ちに公訴提起を無効とするような重大な違法があるとは認められない。
問題の所在(論点)
起訴状の記載に不適切な点がある場合(公訴事実の特定や予断排除原則への抵触が疑われる場合等)、その不備によって公訴提起自体が無効となるか(刑事訴訟法256条、338条4号)。
規範
起訴状の記載が妥当でない場合であっても、それが公訴提起の手続を無効ならしめるほどの重大な違法に至らない限り、公訴提起の効力は否定されない(刑事訴訟法256条参照)。
重要事実
被告人が起訴された際、その起訴状の記載内容について、弁護人が判例違反および起訴状の不備を理由に上告を申し立てた事案である。最高裁判所は、当該起訴状の記載について「妥当とは認められない」点があることを認めつつも、その違法の程度について判断を示した。
あてはめ
本件における起訴状の記載は、裁判所によって「妥当とは認められない」と評価されており、形式的または内容的な瑕疵が含まれていたことが示唆される。しかし、刑事訴訟手続の安定性の観点から、単なる不適切な記載があるだけでは不十分であり、公訴提起の有効性を根底から覆すような「起訴状を無効ならしめる違法」があるとは認められない。したがって、適法な公訴提起としての効力を維持するものと解される。
結論
本件起訴状の記載に不適切な点は認められるものの、公訴提起を無効とするほどの違法はなく、上告を棄却する。
実務上の射程
起訴状一本主義違反や公訴事実の特定不十分を主張する際、その瑕疵が「無効」レベルに達するかどうかの境界線を示す際のリファレンスとなる。実務上、多少の不備(余事記載等)があっても直ちに無効とはならないという消極的な限定解釈を示す判例として活用できる。
事件番号: 昭和34(あ)142 / 裁判年月日: 昭和36年11月24日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】裁判所が審判の請求を受けない事実について判決をしたとの主張につき、原審がこれを否定した判断は正当であり、刑訴法378条3号の不告不理の原則に違反しない。 第1 事案の概要:被告人は刑事事件について起訴され、下級審において有罪判決を受けた。これに対し、弁護人は「裁判所が審判の請求を受けない事件につい…