判旨
刑事訴訟法施行前に公訴が提起された事件(いわゆる旧法事件)に対する不服申立てについては、刑訴施行法2条に基づき、現行法ではなく旧刑事訴訟法及び刑事訴訟応急措置法が適用される。
問題の所在(論点)
刑事訴訟法施行前に公訴が提起された事件に関し、施行後の不服申立てについて適用されるべき法律は何か。また、新刑事訴訟法に基づく特別抗告の可否が問われた。
規範
刑事訴訟法施行(昭和24年1月1日)前に公訴の提起があった事件については、刑訴施行法2条により、その不服申立ての手続は旧刑事訴訟法及び刑事訴訟法応急措置法によるべきであり、新刑事訴訟法に基づく特別抗告は許されない。また、応急措置法18条に基づく抗告として扱う場合でも、同条所定の要件を満たす必要がある。
重要事実
業務上横領等被告事件について、新刑事訴訟法の施行日である昭和24年1月1日より前に公訴が提起された。この事件に関する原決定(不服申立の対象となる決定)に対し、申立人は新刑事訴訟法に基づく特別抗告を申し立てた。
あてはめ
本件は昭和24年1月1日以前に公訴が提起された「旧法事件」であることが記録上明らかである。したがって、刑訴施行法2条に従えば、本件における不服申立ては旧刑事訴訟法及び刑訴応急措置法によらなければならない。新刑訴法に基づく特別抗告は制度上の前提を欠く不適法なものである。また、仮に刑訴応急措置法18条による抗告と解したとしても、本件はその規定する事由には該当しない。
結論
本件特別抗告は不適法であり、棄却される。旧法事件については旧法等の手続によるべきである。
実務上の射程
新法・旧法の端境期における経過措置に関する判示である。現代の司法試験においては、法改正時の経過規定の重要性や、手続適正の観点から適用法条を厳格に特定する実務上の姿勢を理解する資料として機能する。
事件番号: 昭和28(し)49 / 裁判年月日: 昭和31年9月29日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】高等裁判所のした再審請求棄却決定に対し最高裁判所へ抗告を申し立てることは、法律に特別の規定がある場合に限り許される。特別抗告として解釈する場合であっても、法定の提起期間を徒過し、かつ抗告理由が法定の事由に該当しないときは、当該申立ては不適法である。 第1 事案の概要:抗告人は、昭和28年4月30日…
事件番号: 昭和37(し)11 / 裁判年月日: 昭和37年10月30日 / 結論: 破棄自判
一、刑訴施行法第二条にいう「新法施行前に公訴の提起があつた事件」とは、昭和二三年一二月末日までに公訴の提起があつた事件をいい、その現に第一審に係属中たると上訴審に係属中たるとを問わず、またその判決が確定し執行の段階にあるものたると既に執行を終つたものたるとを問わず、すべてこれを含む趣旨である。 二、いわゆる旧法事件につ…
事件番号: 昭和28(し)18 / 裁判年月日: 昭和28年4月30日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】旧刑事訴訟法が適用される事件において、高等裁判所の決定に対し最高裁判所へ抗告をすることは、訴訟法において特に認められた場合を除き許されない。 第1 事案の概要:申立人は、東京高等裁判所が下した再審請求棄却決定を不服として、最高裁判所に対して抗告を申し立てた。本件は刑訴施行法2条に基づき旧刑事訴訟法…
事件番号: 昭和31(し)49 / 裁判年月日: 昭和32年6月12日 / 結論: 棄却
拘置所長あてに送達された起訴状の謄本が、誤つて同姓同名の他の在監者に交付され、被告人がその交付を受けなかつた場合には、起訴状の謄本の送達がなかつた場合と同様に、公訴の提起はさかのぼつてその効力を失う。
事件番号: 昭和27(し)74 / 裁判年月日: 昭和27年10月14日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】刑事訴訟法433条に基づく特別抗告は、同法405条に規定する憲法違反または判例相反の事由がある場合に限り申し立てることができる。本件の抗告理由はこれらに該当しないことが明らかであるため、適法な理由にならず棄却を免れない。 第1 事案の概要:抗告人Aが、原決定に対して刑事訴訟法433条に基づき特別抗…