刑訴四三五条六号にもとずく再審の請求にあたり、あらたに発見した証拠として証人の取調を求めている場合でも、再審の請求が理由があるかどうかを判断するためには、必ずその証人の取調をしなければならないものではないことは、当裁判所の判例とするところである。(昭和二八年(し)第一二号同年一一月二四日第三小法廷決定、集七巻一一号二二八三頁昭和二九年(し)六〇号同年一一月二二日第二小法廷決定集八巻一一号一八五七頁参照)
刑落第四三五条六号にもとずく再審の請求と証人の取調
刑訴法435条6号,刑訴法445条,刑訴法43条3項
判旨
刑事訴訟法435条6号に基づく再審請求において、新証拠として証人の取調べが求められている場合であっても、再審請求の理由の有無を判断するために必ずその証人尋問を行わなければならないわけではない。
問題の所在(論点)
刑事訴訟法435条6号に基づく再審請求において、新たに発見された証拠として証人の取調べが求められた場合、裁判所は再審請求の理由の存否を判断する前提として、必ずその証人尋問を実施しなければならないか。
規範
刑事訴訟法435条6号に基づく再審請求の手続において、裁判所が再審の理由(証拠の新奇性及び明白性)の有無を判断するにあたり、申立人が証拠として提出した証人の取調べを必ず実施しなければならないという法的義務はない。
重要事実
抗告人は、刑事訴訟法435条6号を理由として再審の請求を行った。その際、新たに発見した証拠として特定の証人の取調べを求めたが、原審(裁判所)は当該証人の取調べを行うことなく、再審の事由が認められないとして請求を退ける判断を下した。これに対し、抗告人は証人取調べを行わなかったことが憲法違反、判例違反、および刑事訴訟法違反にあたると主張して特別抗告を申し立てた。
事件番号: 昭和37(し)29 / 裁判年月日: 昭和37年12月25日 / 結論: 棄却
憲法三七条二項は、刑事被告人に対し、受訴裁判所の訴訟手続において、すべての証人に対して審問する機会を充分に与えられる旨を規定したものであること当裁判所の判例(昭和二四年(つ)第九三号同二五年三月六日大法廷決定刑集四巻三号三〇九頁、昭和二五年(あ)第七九七号同二七年六月一八日大法廷判決刑集六巻六号八〇一頁)である。しから…
あてはめ
再審請求の理由があるかどうかの判断は、提出された証拠の書面審査やその他の関連資料に基づいて行うことが可能である。本件において抗告人は証人の取調べを求めているが、裁判所が再審事由の存否を適切に判断できるのであれば、必ずしも直接その証人を召喚し尋問する必要はない。原審が証人取調べを行わずに請求を棄却したことは、過去の最高裁判例の趣旨に照らしても適法な裁量の範囲内であるといえる。
結論
再審請求における証人取調べの実施は裁判所の裁量に属し、必ずしも必須ではないため、取調べを行わずに請求を棄却した判断に違法はない。
実務上の射程
再審請求における「事実の取調べ」(刑訴法445条)の要否に関する判例であり、弁護人側が証人尋問を求めても裁判所が書面のみで却下できる根拠となる。答案上は、再審手続における職権調査の性質と関連付けて、裁判所の合理的な裁量を肯定する文脈で使用する。
事件番号: 昭和29(し)60 / 裁判年月日: 昭和29年11月22日 / 結論: 棄却
刑訴第四三五条第六号に基く再審の請求にあたり、あらたに発見した証拠として証人の取調を求めている場合でも、再審の請求が理由があるかどうかを判断するためには、必ずその証人の取調をしなければならないのではない。
事件番号: 昭和28(し)12 / 裁判年月日: 昭和28年11月24日 / 結論: 棄却
刑訴第四三五条第六号に基く再審の請求にあたり、あらたに発見した証拠として証人の取調を求めている場合でも、その再審の請求が理由があるかどうかを判断するために、その証人の取調をするか、又はこれをしないで、趣意書に添えた証拠書類等及び確定事件記録につき必要と認める調査をするにとどめ、あるいはさらにその証人の取調以外の方法によ…
事件番号: 昭和40(し)18 / 裁判年月日: 昭和43年4月16日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】再審請求の手続きにおいて、旧刑訴法509条に従い書面によって請求人および検察官の意見を求めた場合には、憲法31条に違反しない。また、自白の任意性・真実性を欠くという主張が再審事由に該当しない旨の判断は、適法な特別抗告の理由にはならない。 第1 事案の概要:請求人は、再審請求を棄却した原決定に対し、…
事件番号: 昭和28(し)74 / 裁判年月日: 昭和29年3月25日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】最高裁判所に対しては、法律により特に許された場合を除き、直接抗告を申し立てることはできない。また、特別抗告として申し立てる場合であっても、その理由が再審事由等の法定された事由に該当しない限り不適法である。 第1 事案の概要:申立人は、旧刑事訴訟法510条に基づき、最高裁判所に対して即時抗告を申し立…