刑訴第四三五条第六号に基く再審の請求にあたり、あらたに発見した証拠として証人の取調を求めている場合でも、再審の請求が理由があるかどうかを判断するためには、必ずその証人の取調をしなければならないのではない。
刑訴第四三五条第六号に基く再審の請求と証人の取調。
刑訴法435条6号,刑訴法445条,刑訴法43条3項,刑訴規則283条,刑訴規則33条3項
判旨
刑訴法435条6号に基づく再審請求において、新証拠として証人の取調べが求められた場合であっても、裁判所は必ずしも当該証人の取調べを行う義務を負わない。請求理由の有無は、請求趣意書、添付書類、確定事件の訴訟記録等に対する調査により判断することが可能である。
問題の所在(論点)
刑事訴訟法435条6号に基づく再審請求において、新証拠として証人の取調べが請求された場合、裁判所は必ず当該証人を取り調べなければならないか。事実の取調べの要否と判断の枠組みが問題となる。
規範
再審請求において新証拠として証人の取調べが請求されている場合であっても、裁判所は直ちに取調べを行う義務を負うものではない。再審請求の趣意書、添付された証拠書類、および確定事件の訴訟記録等に対する必要な調査、あるいは他の方法による事実の取調べによって、再審請求に理由がないことが明らかであると判断できる場合には、当該証人の取調べを欠いても適法である。
重要事実
特別抗告人は、刑事訴訟法435条6号を理由として再審を請求し、その際、新たに発見した証拠として特定の証人の取調べを求めた。しかし、原審は当該証人の取調べを行うことなく再審請求を棄却した。これに対し、抗告人は、証人取調べを行わなかったことが憲法37条(証人喚問権等)や訴訟法に違反するとして特別抗告を申し立てた。
事件番号: 昭和31(し)11 / 裁判年月日: 昭和31年3月27日 / 結論: 棄却
刑訴四三五条六号にもとずく再審の請求にあたり、あらたに発見した証拠として証人の取調を求めている場合でも、再審の請求が理由があるかどうかを判断するためには、必ずその証人の取調をしなければならないものではないことは、当裁判所の判例とするところである。(昭和二八年(し)第一二号同年一一月二四日第三小法廷決定、集七巻一一号二二…
あてはめ
本件において、裁判所は請求趣意書や添付された証拠書類、さらには確定判決の訴訟記録を精査した。その結果、請求人の主張する新証拠(証人の供述予定内容等)を考慮したとしても、再審を開始すべき正当な理由がないことが客観的に明らかであった。このような場合、あえて当該証人を現実に喚問して取調べを行う必要性は認められず、書面等の調査のみで請求の理由がないと判断した原審の措置は正当であると解される。
結論
再審請求における証人取調べの請求は、裁判所が記録精査等により請求に理由がないと判断できる場合には、必ずしも採用する必要はない。したがって、取調べを行わずに棄却した原決定に違法はなく、本件特別抗告を棄却する。
実務上の射程
再審開始手続(刑訴法443条以下)における事実取調べの裁量を認めた判例である。答案上は、再審請求における「証拠の新規性・明白性」を判断するにあたり、裁判所が必ずしも請求者の求める全ての証拠調べを実施する義務を負わないことの根拠として利用できる。特に書面審理を中心とする再審手続の構造を説明する際に有用である。
事件番号: 昭和28(し)12 / 裁判年月日: 昭和28年11月24日 / 結論: 棄却
刑訴第四三五条第六号に基く再審の請求にあたり、あらたに発見した証拠として証人の取調を求めている場合でも、その再審の請求が理由があるかどうかを判断するために、その証人の取調をするか、又はこれをしないで、趣意書に添えた証拠書類等及び確定事件記録につき必要と認める調査をするにとどめ、あるいはさらにその証人の取調以外の方法によ…
事件番号: 平成28(し)639 / 裁判年月日: 平成29年3月31日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】再審請求において、確定判決の証拠関係を覆すような新証拠(供述録取書等)が提出された場合、裁判所は、単に書面の内容のみからその信用性を肯定して再審を開始するのではなく、事実取調べ(証人尋問等)を通じて新証拠の作成経緯や客観的証拠との整合性を十分に吟味すべきであり、これを怠って再審開始を認めることは審…
事件番号: 昭和29(し)39 / 裁判年月日: 昭和29年9月17日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】再審請求における「明らかな証拠をあらたに発見したとき」(刑訴法435条6号)の該否が争われた事案において、提出された証拠が確定判決を覆すべき証拠の明白性を欠く場合には再審理由に当たらないと判断した。 第1 事案の概要:再審請求人(特別抗告人)は、Aの自供書、BおよびCの各証明書を「明らかな証拠」と…
事件番号: 昭和27(し)49 / 裁判年月日: 昭和28年1月22日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】決定手続における事実の取調べは必ずしも証人尋問の方法による必要はなく、適宜の方法で参考人を審尋することも許される。また、その際に被告人や弁護人に立ち会いの機会を与えなかったとしても違法ではない。 第1 事案の概要:被告人が再審請求を行った事案において、原審は事実の取調べのためにAを尋問したが、証人…