判旨
再審請求の手続きにおいて、旧刑訴法509条に従い書面によって請求人および検察官の意見を求めた場合には、憲法31条に違反しない。また、自白の任意性・真実性を欠くという主張が再審事由に該当しない旨の判断は、適法な特別抗告の理由にはならない。
問題の所在(論点)
再審請求の棄却決定において、当事者に対する意見聴取の手続が書面で行われた場合に憲法31条に違反するか。また、自白の任意性等を否定する主張を再審事由に該当しないとした判断が、憲法38条違反として特別抗告の理由になるか。
規範
再審請求の手続きにおいて、法に従い書面によって当事者の意見を求める手続を経ている場合には、適正な手続が確保されているものと判断される。また、自白の証拠能力や証明力に関する主張が、単に再審事由(旧刑訴法485条等)に該当しないと判断されたに過ぎない場合は、刑事訴訟応急措置法18条1項に定める憲法違反等の特別抗告理由には当たらない。
重要事実
請求人は、再審請求を棄却した原決定に対し、憲法31条(適正手続)および憲法38条(自白排除法則)の違反を理由として特別抗告を申し立てた。原裁判所は、各再審請求ごとに旧刑訴法509条に基づき、書面によって請求人および検察官の意見を求めていた。また、請求人が主張した「自白調書の任意性・真実性の欠如」については、再審事由に該当しないと判示されていた。
あてはめ
憲法31条違反の点について、記録によれば、原裁判所は旧刑訴法509条に基づき、書面によって請求人と検察官の双方に意見を求めている。この手続を経ている以上、告知・聴聞の機会が保障されており、適正手続に反するとはいえない。次に憲法38条違反の点について、原決定は自白の任意性等の主張が「再審事由に該当しない」という形式的な要件判断を示したに留まる。これは実体法上の自白の証拠能力(刑訴応急措置法18条1項)に関する憲法判断を示したものではない。
結論
本件抗告は、前提を欠くか、あるいは単なる事実誤認・法令違反の主張に過ぎず、適法な特別抗告の理由とはならないため、棄却される。
事件番号: 昭和30(し)3 / 裁判年月日: 昭和30年3月30日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】予審主任判事がその後の公判や裁判に関与することは、直ちに憲法違反とはならず、また特別抗告の適法な理由にも当たらない。 第1 事案の概要:被告人が、予審終結決定を行った予審主任判事が原審の公判および裁判に関与したことを不服として、憲法違反を理由に即時抗告(特別抗告)を申し立てた事案。 第2 問題の所…
実務上の射程
再審開始決定前の手続的保障に関し、書面による意見徴収で足りるとする実務上の運用を追認するものである。答案上は、再審請求における適正手続の具体的態様を論じる際の参照判例として活用できるが、本判決自体は旧法下のものである点に注意が必要である。
事件番号: 昭和39(し)90 / 裁判年月日: 昭和40年4月21日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】旧法下で終結した事件の再審請求に対する高等裁判所の決定については、旧刑訴法及び刑訴応急措置法が適用され、最高裁判所への即時抗告は許されず、憲法違反等の事由がある場合の特別抗告のみが認められる。 第1 事案の概要:本件は、旧旧刑訴法の下で公訴が提起され、かつ終結した強盗殺人事件である。これに対する再…
事件番号: 昭和32(し)49 / 裁判年月日: 昭和32年10月23日 / 結論: 棄却
再審請求人が裁判所の求意見に対し現実に意見書を提出した場合のみならず、裁判所が再審を請求した者に対し意見を求め、且つその意見の申述につき相当期間をおいたにも拘らず、請求人から遂に意見を申述しなかつた場合も、刑訴規則二八六条にいう意見を聴いた場合に該る。
事件番号: 昭和47(し)75 / 裁判年月日: 昭和47年11月28日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】憲法違反を主張する抗告であっても、その実質が単なる法令違反や事実誤認の主張に帰する場合には、適法な抗告理由には当たらない。 第1 事案の概要:申立人本人が憲法76条3項違反を、弁護人が憲法36条および38条違反を主張して抗告を申し立てた事案である。しかし、それらの主張は具体的・実質的には原審の事実…
事件番号: 昭和40(し)17 / 裁判年月日: 昭和43年4月16日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】最高裁判所は、上告のほか訴訟法において特に定める抗告についてのみ裁判権を有するところ、旧法事件において右にいう抗告とは、刑訴応急措置法18条による抗告のみをいう。 第1 事案の概要:抗告人は、原裁判所がした再審請求棄却決定を不服として、旧刑訴法510条に基づき最高裁判所に対して即時抗告を申し立てた…