公職選挙法二二一条一項各号の規定は、その所定の行為が反覆継続されること又は反覆継続の意思をもつてなされることを犯罪成立の要件としているものと解することはできないので、所論のように継続犯として一罪を構成するものではない。それ故、原判決が併合罪として処断したことについては所論の違法もない。
公職選挙法第二二一条第一項各号の罪と罪数
公職選挙法221条1項,刑法45条
判旨
公職選挙法221条1項各号に規定される買収等の罪は、行為の反復継続やその意思を犯罪成立の要件としておらず、継続犯として一罪を構成するものではない。
問題の所在(論点)
公職選挙法221条1項各号所定の買収等の罪が、反復継続の意思を要件とする継続犯として一罪(包括一罪)を構成するか、それとも各行為が別個の罪を構成するか。
規範
公職選挙法221条1項各号の規定は、その所定の行為が反復継続されること、または反復継続の意思をもってなされることを犯罪成立の要件としているものと解することはできない。したがって、同条項に該当する複数の行為がある場合、それらは継続犯として包括的な一罪を構成するのではなく、別個の罪を構成する。
重要事実
被告人が公職選挙法221条1項各号に掲げられた買収等の行為を複数回行った事案において、原審はこれらを併合罪として処断した。これに対し弁護人は、当該行為は反復継続の意思をもってなされた継続犯であり、一罪として評価されるべきであると主張して上告した。
あてはめ
公職選挙法221条1項の文言上、買収等の行為が反復継続されることやその意思を必要とする旨の規定は存在しない。そのため、同条項所定の行為がなされればその都度犯罪は成立し、反復の意思があったとしても法的に一つの継続的な状態として一罪に収束する性質のものではない。したがって、原判決が個々の行為について併合罪(刑法45条前段)として処断したことは正当である。
結論
公職選挙法221条1項の罪は継続犯ではなく、各行為について併合罪が成立する。
実務上の射程
選挙犯罪における罪数判断の基準を示す。数人に対して個別に買収を行った場合や、時期を異にして買収を繰り返した場合、包括一罪ではなく併合罪として処理すべき実務上の根拠となる。
事件番号: 昭和34(あ)1527 / 裁判年月日: 昭和35年4月28日 / 結論: 破棄自判
買収犯の如く法定の期間内であると否とに拘らずそれ自体違法な選挙運動行為が数個ある場合には、事前運動の場合でも各行為毎に犯罪が成立する。