判旨
刑法56条1項に定める再犯の要件について、懲役の刑期終了から5年以内に更に罪を犯したことが客観的事実に基づき認められる場合には、累犯加重を適用するのが相当である。
問題の所在(論点)
前刑の執行終了日から5年以内に後罪を犯したことが記録上明らかな場合、第一審において未決勾留日数の算入等の詳細な証拠調べがなされていなくとも、刑法56条1項の再犯として累犯加重を適用することは適法か。
規範
刑法56条1項の累犯加重が適用されるためには、懲役の執行を終わった日、またはその執行の免除を得た日から5年以内に、更に罪を犯し、これに対して有期懲役を科すべき場合であることを要する。
重要事実
被告人は、昭和28年に窃盗罪により懲役2年の判決を受け、昭和30年3月19日にその刑期が終了した。その後、同年8月28日以降に本件各犯罪行為を行った。第一審はこれらの事実に基づき累犯加重を適用したが、弁護人は受刑事実における未決勾留日数の算入や減刑の事実が認定されていないこと等を理由に、累犯加重の違法を主張して上告した。
あてはめ
記録によれば、被告人の前刑(懲役2年)は昭和30年3月19日に終了している。本件各所為は同年8月28日以降に行われており、前刑の執行終了から5年以内であることは客観的に明らかである。判決文において未決勾留日数の算入や減刑の事実が具体的に認定・証拠調べされていないとしても、刑期終了の事実自体が認められる以上、累犯加重の前提条件を欠くものではない。
結論
本件各所為は刑法56条所定の条件を具備しており、第一審の累犯加重は正当であって違法はない。
実務上の射程
累犯の要件を充足するか否かの判断において、前刑の執行終了日が記録上明確であれば、細かな未決勾留の算入過程等の認定が欠けていても直ちに違法とはならない。答案上は、刑法56条の要件(前刑の執行終了・5年以内の後罪)を事実に即してあてはめる際の確認として機能する。
事件番号: 昭和29(あ)3722 / 裁判年月日: 昭和30年3月11日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】累犯加重(刑法56条1項)の適用において、前科の刑が控訴取下げにより確定した場合、その執行終了後5年以内の犯行であれば累犯加重の事由に該当する。 第1 事案の概要:被告人には、昭和23年12月24日に控訴取下げにより刑が確定した前科があった。本件犯行は、その前科に係る刑の執行終了後、5年以内に行わ…