判旨
累犯加重(刑法56条1項)の適用において、前科の刑が控訴取下げにより確定した場合、その執行終了後5年以内の犯行であれば累犯加重の事由に該当する。
問題の所在(論点)
控訴取下げにより確定した前科が、刑法56条1項にいう累犯加重の要件を満たすか。
規範
刑法56条1項の累犯加重が適用されるためには、懲役の執行を終わった日、またはその執行の免除を得た日から5年以内に、更に罪を犯し、有期懲役に処せられる必要がある。この「刑の確定」に関しては、控訴取下げによる確定も含まれ、その後の執行終了時期を基準に期間を算定する。
重要事実
被告人には、昭和23年12月24日に控訴取下げにより刑が確定した前科があった。本件犯行は、その前科に係る刑の執行終了後、5年以内に行われたものであった。弁護側は、当該前科が累犯加重の事由となることについて争い、上告を申し立てた。
あてはめ
記録によれば、被告人の前科は昭和23年12月24日に控訴取下げによって確定している。刑法56条1項は「執行を終わった日...から五年以内」に罪を犯すことを求めているところ、本件犯行は右前科の執行終了後5年以内の犯行であることが記録上明白である。したがって、手続的な確定形式(判決確定か取下げ確定か)を問わず、実質的に執行終了から5年以内という期間要件を満たしている以上、累犯加重の事由に該当すると解される。
結論
被告人の本件犯行は前科の執行終了後5年以内の犯行であり、累犯加重の事由たることは明らかであるとして、上告を棄却した。
実務上の射程
累犯の期間計算における起点や確定形式の判断において、控訴取下げによる確定であっても、執行終了時期を基準とする実務運用を是認したものである。答案上は、累犯加重の要件検討において、前科の確定日と執行終了日を混同せず、執行終了後5年以内という期間要件を正確にあてはめる際に参照する。
事件番号: 昭和32(あ)188 / 裁判年月日: 昭和32年6月29日 / 結論: 棄却
刑法第五六条第一項に「五年内ニ更ニ罪ヲ犯シ有期懲役ニ処ス可キトキハ」とあるのは、前犯の刑の執行を終つた日または執行の免除があつた日から五年の期間内に後犯が行われればよいので、後犯に対する裁判がこの期間内に言渡されることを必要としないものと解すべきである。
事件番号: 昭和27(あ)1043 / 裁判年月日: 昭和28年7月18日 / 結論: 棄却
前科が累犯加重の理由となるのは、前後の罪の刑がいずれも懲役刑であつて、前の罪の刑につき執行を終り又は執行の免除があつた日から五年以内にさらに後の罪を犯し懲役刑に処すべき場合であれば足りるのであり、後の罪につき右の五年以内に有罪判決の言渡があつたことを要するものでないと解するを相当とする。さればこの趣旨に出でた原判決は正…