上告棄却の判決に対し、刑訴第四三六条第一項、第四三五条第一、二号の事由による再審の請求が許されるためには、上告審が自ら事実の取調を行つて集取した証拠または上告棄却判決が判断の資料として特に掲げた証拠について右第四三五条第一、二号に定める事由が存在しなければならない。
上告棄却の判決に対する刑訴第四三六条第一項、第四三五条第一、二号の事由による再審請求の要件
刑訴法436条,刑訴法435条1号,刑訴法435条2号
判旨
上告棄却の確定判決に対する再審の請求が刑訴法436条1項により許されるのは、上告審自らが事実の取調べを行って集取した証拠や判断の資料として特に掲げた証拠について再審事由がある場合に限られる。
問題の所在(論点)
上告棄却の確定判決に対する再審の請求において、第一審判決が証拠とした鑑定の虚偽を理由として、最高裁判所に再審を請求することができるか。刑訴法436条1項の「証拠となった」ことの意義が問題となる。
規範
上告棄却の確定判決に対し、例外的に再審の請求が許されるのは、刑訴法436条に基づき上告審の関与裁判官に職務上の犯罪があったときのほか、上告棄却の判決を言い渡すについて特に証拠とした資料、すなわち(1)自ら事実の取調べを行って集取した証拠、または(2)上告棄却判決が判断の資料として特に掲げた証拠について、同法435条1号、2号の事由が存在する場合に限定される。
重要事実
申立人は、第一審判決が証拠とした鑑定が虚偽であると主張したが、当該鑑定が虚偽であることの確定判決を得ることができなかったため、その事実を証明して、最高裁判所に対し上告棄却の確定判決に対する再審を請求した。
あてはめ
本件で問題とされた鑑定書は、最高裁判所による原上告棄却判決において、自ら事実の取調べを行って集取した証拠ではなく、また判断の資料として特に掲げられたものでもないことが記録上明らかである。再審は本来、事実認定の誤りを救済する制度であるため、原則として事実認定を行った裁判所に対してなされるべきであり、上告審が直接判断の基礎としていない証拠を理由に上告審の判決を覆すことはできない。
結論
本件再審請求は刑訴法436条1項所定の事由に該当せず、許されない。所論の事由に基づく再審請求は、当該鑑定書を証拠として事実の認定をした裁判所に対してなされるべきであり、当裁判所に対する請求は棄却される。
実務上の射程
上告審に対する再審請求の対象範囲を画定した判例である。事実認定を行わない法律審としての性質上、再審事由となる証拠は上告審が独自に用いたものに限定されるため、答案上では「どの裁判所のどの判断に誤りがあるか」を峻別して再審の管轄・対象を検討する際に用いる。
事件番号: 昭和30(き)1 / 裁判年月日: 昭和30年2月22日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】上告棄却の確定判決に対する再審請求は、刑事訴訟法436条1項各号に規定された事由がある場合にのみ許容される。 第1 事案の概要:申立人は、自身の上告を棄却した確定判決に対し、再審願と題する書面をもって再審の請求を行った。しかし、当該請求において主張された理由は、法が定める再審事由のいずれにも該当し…
事件番号: 昭和27(き)3 / 裁判年月日: 昭和28年7月24日 / 結論: 棄却
上告を棄却した確定判決に対する再審の請求は、当該確定判決自体に刑訴第四三六条第一項所定の事由があることを理由とするときにのみ許される。
事件番号: 昭和30(き)5 / 裁判年月日: 昭和30年7月26日 / 結論: 棄却
上告を棄却した確定決定に対しては、刑訴法上再審の請求は許されていないのであるから、本件再審の請求は不適法として棄却すべきものである。
事件番号: 昭和31(き)14 / 裁判年月日: 昭和32年4月5日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】上告棄却決定に対する再審請求において、刑訴法435条および436条所定の再審事由を具体的に主張せず、単に下級審の審理不尽等の違法を述べるに留まる場合は、請求を不適法として棄却すべきである。 第1 事案の概要:請求人は、最高裁判所がなした上告棄却決定に対し再審を請求した。その理由は、一審および二審の…