判旨
本判決は、事実誤認の主張、訴訟法上の問題、および原審で主張されず判断を経ていない法令解釈の主張は、刑事訴訟法405条所定の上告理由に当たらないことを示した。
問題の所在(論点)
事実誤認、訴訟法上の不備、または原審で判断を経ていない法令解釈上の疑義を理由とする申し立てが、刑事訴訟法405条の上告理由として認められるか。
規範
刑事訴訟法405条に基づき、上告理由となる事由は限定されている。具体的には、事実誤認、単なる訴訟法上の問題、または原審において主張せず原判決が判断を示していない法令解釈の問題は、原則として同条各号に掲げる適法な上告理由には該当しない。
重要事実
被告人の弁護人が、第一点から第七点において事実誤認を主張し、第八点において訴訟法上の問題を、第九点において法令解釈の問題(ただし原審では未主張かつ判断未了のもの)を理由として上告を申し立てた事案である。
あてはめ
弁護人が主張した第一点から第七点は「事実誤認」にすぎず、同条の事由に該当しない。第八点の「訴訟法上の問題」および第九点の「原判決の判断を経ていない法令解釈の問題」も、同条が予定する憲法違反や判例相反といった事由には当たらない。また、記録を精査しても刑事訴訟法411条を適用して職権で判決を破棄すべき顕著な事由も認められない。
結論
本件各上告は、適法な上告理由を欠くものとして棄却される。
実務上の射程
司法試験の実務においては、上告理由の適法性を検討する際の基礎的な枠組みとして機能する。被告人側が事実関係の争いを理由に上告を試みたとしても、それが405条の限定列挙(憲法違反、判例違反)に該当しない限り、適法な理由として認められないことを簡潔に摘示する際に用いる。
事件番号: 昭和30(あ)629 / 裁判年月日: 昭和30年10月18日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】刑事訴訟法405条に基づく上告において、原審で主張も判断もされていない事項を上告理由とすることはできず、また単なる事実誤認の主張も適法な上告理由には当たらない。 第1 事案の概要:被告人4名の弁護人が、原審で主張も判断もなされていない事項(上告趣意第1点)および事実誤認(同第2点)を理由として上告…