判旨
第一審判決の量刑が過酷であるとの主張は、憲法36条の禁ずる「残虐な刑罰」には該当せず、実質的には単なる量刑不当の主張にすぎないため、適法な上告理由とはならない。
問題の所在(論点)
第一審判決の量刑が過酷であることが、憲法36条の禁ずる「残虐な刑罰」にあたり、刑訴法405条1号の上告理由(憲法違反)となるか。
規範
特定の事案に対する個別の量刑が過酷であるとしても、それが直ちに憲法36条の禁止する「残虐な刑罰」に該当するものではない。量刑の不当は、刑訴法405条に規定される適法な上告理由を構成せず、憲法違反を口実とした実質的な量刑不当の主張は排斥される。
重要事実
被告人が第一審判決の量刑を不服とし、その量刑が過酷であって憲法36条に違反すると主張して上告を提起した事案。具体的な罪状や第一審判決の詳細は判決文からは不明であるが、上告趣意は量刑の著しい不当性を憲法違反として構成したものであった。
あてはめ
最高裁判所の大法廷判例(昭和23年6月30日判決)によれば、個別の事件における量刑の過酷さは憲法36条の違反を構成しない。本件上告理由は、憲法違反を主張の形式としているが、その実体は単なる量刑不当の主張である。したがって、上告理由として掲げられた事由は、刑訴法405条の定める憲法違反または判例違反のいずれにも該当しない。
結論
本件上告は刑訴法405条の上告理由に当たらないため、棄却される。
実務上の射程
司法試験においては、死刑制度の合憲性や量刑の憲法判断が問われる際、個別の量刑不当は憲法違反(残虐な刑罰)の問題にはならないとする判決として、上告理由の適格性を論じる場面で引用される。実務上も、量刑不当を理由とする場合は刑訴法405条の枠外(411条の裁量的破棄)であることを明確にする役割を持つ。
事件番号: 昭和30(あ)2035 / 裁判年月日: 昭和30年10月18日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】憲法36条が禁止する「残虐な刑罰」とは、不必要な苦痛を伴い、人道上耐え難い苦痛を与える刑罰を指すものであり、先行する最高裁判例の基準を維持するものである。 第1 事案の概要:上告人は、下級審の刑の言渡しに対し、その量刑が重すぎることを理由に憲法36条の禁止する「残虐な刑罰」に該当し違憲である旨を主…