判旨
銃砲刀剣類等所持取締令に基づき登録を受けた日本刀を所持する行為は、所持の目的を問わず、同令2条の所持罪の対象から除外される。
問題の所在(論点)
銃砲刀剣類等所持取締令(現:銃刀法)に基づき登録を受けた日本刀を携行所持する行為が、同令2条の禁止する「所持」に該当し、処罰の対象となるか。
規範
銃砲刀剣類等所持取締令7条の規定による登録を受けた日本刀については、同令2条所定の所持罪の対象から除外される。この場合、当該日本刀を所持する目的のいかんを問わず、所持罪として処罰することはできない。
重要事実
被告人は、登録を受けた日本刀1本を、昭和29年5月20日に田川市内の炭坑寮から同市内の別の場所まで携行し所持した。原審および第一審は、登録された刀剣であっても、その所持態様や目的によっては同令2条に違反すると判断し、被告人を有罪とした。
あてはめ
本件日本刀は、同令7条の規定による適法な登録を受けたものである。登録を受けた刀剣の所持は、法的に認められた状態であり、その所持目的や携行という態様によって直ちに違法な所持へと転じるものではない。したがって、登録がある以上、同令2条の禁止する所持には該当しない。
結論
被告人の行為は罪とならず、無罪である。登録済みの刀剣を所持する行為は、目的の如何にかかわらず所持罪を構成しない。
実務上の射程
登録された刀剣の所持が全面的に許容されることを示した判例である。ただし、現行の銃刀法下では、登録証を携帯せずに持ち歩く行為や、業務等の正当な理由なく隠して携帯する行為(軽犯罪法等)は別途規制対象となり得る点に注意が必要だが、本判旨は「所持罪そのものの成否」における登録の絶対的効力を示している。
事件番号: 昭和32(あ)430 / 裁判年月日: 昭和32年10月4日 / 結論: 破棄自判
銃砲刀剣類等所持取締令第七条の規定による登録を受けた日本刀を所持する所為は、所持者その人の性格ないし所持の目的の如何にかかわらず、同令第二条の規定に違反せず、不法所持罪を構成しない。
事件番号: 昭和41(あ)2952 / 裁判年月日: 昭和42年4月13日 / 結論: 棄却
装飾用に製作された現に刃がついていない儀礼刀でも、その刀身が、刃をつけるに足りる一三クロームステンレス鋼で作られており、平やすり、電動式グラインダー等による加工研摩によつて、容易に鋭利な刃をつけることができるもの(原判文参照)は、銃砲刀剣類等所持取締法第三条第一項、第二条第二項にいう刀剣類にあたる。
事件番号: 昭和32(あ)2599 / 裁判年月日: 昭和36年3月7日 / 結論: 破棄差戻
指揮刀であつても、「刀」としての実質(鋼質性材料をもつて製作された刃物又は或る程度の加工により刃物となりうるものであること)をそなえないものは、銃砲刀剣類等所持取締令第一条にいわゆる「刀剣類」にあたらない。
事件番号: 昭和30(あ)430 / 裁判年月日: 昭和32年6月4日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】銃砲刀剣類等所持取締令(昭和25年政令第334号)およびポツダム宣言受諾に伴う命令の効力に関する法理に基づき、同令の憲法適合性および講和条約発効後の有効性を認めた。 第1 事案の概要:被告人は銃砲刀剣類等所持取締令に違反する行為(所持)を行い、起訴された。弁護人は、①同令が憲法に違反すること、②ポ…
事件番号: 昭和24(れ)2032 / 裁判年月日: 昭和24年6月11日 / 結論: 棄却
一 廢銃即ち屑物となつたものでない限りは、使用停止その他故障の爲め一時拳銃としての機能に障害のあるものであつても、通常の用法に依る手入又は修理を施せば能機を回復するものは、銃砲等所持禁止令施行規則第一條第一號に所謂「銃砲とは、弾丸發射の機能を有する装藥銃砲をいう」ものに該當することは、多言を要しないところであろう。蓋し…