判旨
公職選挙法252条に基づく選挙権及び被選挙権の停止は、確定判決による有罪事実に対して重ねて刑罰を科すものではなく、憲法39条の一事不再理の原則に違反しない。また、当該停止措置は法律の定める手続によらない不利益の賦課とはいえず、憲法31条にも違反しない。
問題の所在(論点)
公職選挙法252条による選挙権・被選挙権の停止措置は、刑罰に加えてさらなる処罰を科すものとして憲法39条に違反しないか。また、別途の手続を経ずに権利を制限することが憲法31条に違反しないか。
規範
憲法39条が禁ずる二重処罰とは、確定判決によって有罪とされた事実について、その判決の効力を動かしたり、重ねて刑罰を科したりすることを指す。また、憲法31条の適正手続の要請は、法律の定める手続によらずに不利益を科すことを禁ずるものであるが、特定の資格等の停止が法律に直接規定されている場合にはこれに反しない。
重要事実
上告人は公職選挙法違反の罪により有罪判決を受けた者である。同法252条の規定に基づき、有罪確定に伴い選挙権及び被選挙権が停止されることとなった。これに対し上告人は、当該規定が憲法39条(二重処罰の禁止)及び憲法31条(適正手続の保障)に違反するものであると主張して、最高裁判所へ上告した。
あてはめ
公職選挙法252条による権利停止は、有罪判決の効力自体を変更するものではなく、また刑罰を重ねて科すものでもないため、二重処罰には当たらない。また、当該制限は法律の規定(公職選挙法)に基づき、有罪判決という客観的事実を要件として自動的に発生する不利益であって、法律の定める手続によらないで科せられるものとはいえない。
結論
公職選挙法252条の規定による選挙権及び被選挙権の停止は、憲法39条及び憲法31条のいずれにも違反せず、合憲である。
実務上の射程
刑事罰に付随して一定の資格を制限する行政的・付随的制限が、実質的な二重処罰(憲法39条違反)や適正手続違反(憲法31条違反)に該当するかを判断する際の基準として活用できる。本判決はこれらを否定する確立した先例の一つである。
事件番号: 昭和29(あ)1474 / 裁判年月日: 昭和30年6月21日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】公職選挙法252条に基づく選挙権・被選挙権の停止規定は、前犯に対する確定判決を変更したり重ねて刑罰を科したりするものではないため、憲法39条の一事不再理・二重処罰の禁止に違反しない。 第1 事案の概要:上告人(被告人)は、公職選挙法違反等の罪に問われ、同法252条1項および2項の規定により、一定期…