判旨
控訴審において、被告人が公判期日に出頭し弁論を経た後、判決宣告期日の通知が直前であっても、被告人及び弁護人の欠席した状態で判決を言い渡すことは違法ではない。
問題の所在(論点)
控訴審において、判決宣告期日の通知が前日であった場合に、被告人及び弁護人が不在のまま判決を宣告することが、刑事訴訟法が定める適正な手続(出頭権の保障等)に違反するか。
規範
控訴審の判決宣告において、既に相当な審理を尽くし、被告人及び弁護人が出頭して弁論を終えている場合には、判決宣告期日の通知がなされている限り、被告人等の欠席下で判決を宣告しても刑事訴訟法上の手続に違反しない。
重要事実
控訴審の第1回公判に被告人と弁護人が出頭し、控訴趣意陳述、答弁、供述、証拠決定が行われた。第2回公判には被告人が欠席したが、弁護人が出頭して証拠調べ後に結審した。判決宣告期日は翌々日に指定され、その通知書は前日の午前10時に書留郵便で発送された。判決宣告当日、被告人と弁護人のいずれも出頭しなかったが、原判決が宣告された。
あてはめ
本件では、被告人及び弁護人は第1回公判で十分に意見を述べる機会を与えられており、第2回公判でも弁護人が出頭して証拠調べが行われ、実質的な審理は終了している。判決宣告期日の通知は前日になされており、手続上の告知は行われている。このような状況下では、判決宣告時に被告人らが欠席していたとしても、防御権の実質的な侵害があるとはいえず、判決宣告手続を違法とする理由はない。
結論
被告人及び弁護人が欠席した状態での判決宣告は適法であり、訴訟手続の違法を理由とする上告は棄却される。
実務上の射程
控訴審の判決宣告期日における被告人の出頭は、刑事訴訟法286条の例外として、必ずしも必要とされない(同法394条参照)。本判決は、通知の猶予が短期間であっても、審理が尽くされている場合には判決宣告を有効とする実務上の運用を容認している。
事件番号: 昭和28(あ)2271 / 裁判年月日: 昭和28年10月22日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】被告人および弁護人の双方に第一回公判期日の召喚状が適法に送達されている場合、両者が揃って出頭しなかったとしても、公判手続を進行させることに訴訟法上の違法はない。 第1 事案の概要:原審の第一回公判期日に際し、被告人および弁護人の双方に対して召喚状が送達されていた。しかし、当該公判期日において被告人…