鉄砲刀剣類等所持取締令第二条違反の罪は刃渡一五センチメートル以上の刀を同条所定の除外事由なくして所持することによつて成立するのであり、犯人が主観的に如何なる使用目的を有していたかはその成立を左右するものではない。
銃砲刀剣類等所持罪の成立の要件と主観的使用目的
鉄砲刀剣類等所持取締令2条
判旨
銃砲刀剣類等所持取締令における刀剣類の所持罪は、所定の除外事由なく一定の長さを超える刀剣類を所持することで成立し、犯人の主観的な使用目的は犯罪の成立を左右しない。
問題の所在(論点)
銃砲刀剣類等所持取締令(現:銃刀法)違反の罪の成立において、所持の目的という主観的要素が構成要件として必要とされるか。
規範
銃砲刀剣類等所持取締令(当時)第2条違反の罪は、刃渡り15センチメートル以上の刀を、同条所定の除外事由(法令に基づく場合等)なく所持することによって成立する。構成要件の充足にあたって、犯人が主観的にいかなる使用目的を有していたかは問わない。
重要事実
被告人が、刃渡り15センチメートル以上の刀を所持していた。この所持について、当時の銃砲刀剣類等所持取締令第2条が定める除外事由は存在しなかった。被告人は何らかの使用目的を持って所持していたと考えられるが、具体的な目的や態様については本判決文からは不明である。
事件番号: 昭和29(あ)1895 / 裁判年月日: 昭和31年12月28日 / 結論: 棄却
刃渡一五糎未満の七首を所持することは許されている場合、それを居宅内で所持する者が、その居宅内でこれを擬して他人を脅迫したからといつて、銃砲刀剣類等所持取締令第一五条(昭和三〇年法律第五一号による改正前の規定)にいう七首の携帯の所為にあたらないものと解するのが相当である。
あてはめ
被告人は、法令上の除外事由がないにもかかわらず、刃渡り15センチメートル以上の刀を所持していた。この客観的事実があれば、当該禁止規定に抵触する。被告人がどのような主観的目的で当該刀剣を所持していたとしても、それは犯罪の成立を左右するものではなく、所持の事実をもって同条違反の罪が成立すると解される。
結論
被告人の所持目的の如何にかかわらず、銃砲刀剣類等所持取締令第2条違反の罪が成立する。
実務上の射程
行政取締法規的な性格を有する銃刀法違反(所持)において、目的の有無が犯罪成立に影響しないことを示す。答案上は、所持の「正当な理由」(現行法10条等)の検討と、主観的構成要件としての「目的」の要否を混同しないよう注意が必要である。
事件番号: 昭和32(あ)2599 / 裁判年月日: 昭和36年3月7日 / 結論: 破棄差戻
指揮刀であつても、「刀」としての実質(鋼質性材料をもつて製作された刃物又は或る程度の加工により刃物となりうるものであること)をそなえないものは、銃砲刀剣類等所持取締令第一条にいわゆる「刀剣類」にあたらない。
事件番号: 昭和28(あ)708 / 裁判年月日: 昭和28年6月16日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】銃砲刀剣類所持等取締法(本判決当時は旧銃砲火薬類取締法等)における「所持」とは、物を自己の支配し得べき状態に置くことをいい、他人から預かって持ち運ぶ行為もこれに含まれる。 第1 事案の概要:被告人は、拳銃1挺および拳銃実包4発を他人から預かり、これを持ち運んだ。弁護人は、このような一時的な預かりや…
事件番号: 昭和32(あ)430 / 裁判年月日: 昭和32年10月4日 / 結論: 破棄自判
銃砲刀剣類等所持取締令第七条の規定による登録を受けた日本刀を所持する所為は、所持者その人の性格ないし所持の目的の如何にかかわらず、同令第二条の規定に違反せず、不法所持罪を構成しない。
事件番号: 昭和31(あ)1868 / 裁判年月日: 昭和31年9月25日 / 結論: 棄却
刃渡約一四糎の登山用ナイフは、あいくちとその作りおよびその性能または用途において類似し、社会通念上人の身体を損傷する用に供される危険性があるから、銃砲刀剣類等所持取締令第一五条にいわゆるあいくちに類似する刃物にあたる。