刃渡約一四糎の登山用ナイフは、あいくちとその作りおよびその性能または用途において類似し、社会通念上人の身体を損傷する用に供される危険性があるから、銃砲刀剣類等所持取締令第一五条にいわゆるあいくちに類似する刃物にあたる。
刃渡約一四糎の登山用ナイフは銃砲刀剣類等所持取締令第一五条にいわゆるあいくちに類似する刃物にあたるか。
銃砲刀剣類等所持取締令15条
判旨
刃渡り約14センチメートルの登山用ナイフは、あいくちとその作り、性能または用途において類似し、容易に隠匿携帯が可能で、かつ社会通念上身体を損傷する危険性があるため、銃砲刀剣類等所持取締令15条にいう「あいくちに類似する刃物」に該当する。
問題の所在(論点)
刃渡り約14センチメートルの登山用ナイフが、銃砲刀剣類等所持取締令15条(現行の銃刀法等に相当する規制)に規定される「あいくちに類似する刃物」に該当するか。
規範
銃砲刀剣類等所持取締令(当時)15条にいう「あいくちに類似する刃物」にあたるか否かは、当該刃物が①「あいくち」とその作り、性能または用途において類似しているか、②容易に隠して携帯することができるか、および③社会通念上、人の身体を損傷する用に供される危険性があるか、という観点から判断すべきである。
重要事実
被告人は、刃渡り約14センチメートルの登山用ナイフを携帯していた。第一審判決および原判決は、この登山用ナイフの所持が銃砲刀剣類等所持取締令15条に違反すると判断したが、当該ナイフが「あいくちに類似する刃物」に該当する理由についての具体的な判示が不十分であるとして、弁護人が法令違反を主張して上告した。
事件番号: 昭和24(れ)2721 / 裁判年月日: 昭和25年3月28日 / 結論: 棄却
被告人が一定の機関、法定の除外事由なくして右露劍一振を所持していた事實が認定される以上、その所有權が何人に屬していたとか、或はその民事上の保管責任者が何人であつたかというような事情は銃砲等所持禁止令違反罪の成立には何等の消長を來たすものではない。そうして又被告人が同令施行の時である昭和二一年六月一五日當時成年に達してい…
あてはめ
本件登山用ナイフは、刃渡りが約14センチメートルであり、その作り、性能、用途において「あいくち」と類似性が認められる。また、その形状から容易に隠して携帯することが可能である。さらに、その性質上、社会通念に照らせば人の身体を損傷する危険性を有する道具といえる。したがって、第一審が単に登山用ナイフと判示した点に不十分さはあるものの、実質的に同条の「あいくちに類似する刃物」に該当すると評価できる。
結論
本件登山用ナイフは「あいくちに類似する刃物」に該当するため、その携帯を処罰した原判決に違法はなく、上告は棄却される。
実務上の射程
本判決は旧法令下の判断であるが、現行の銃刀法における「刀剣類」の解釈や、軽犯罪法1条2号の「凶器」の該当性判断において、形状・秘匿携行性・殺傷危険性の3要素を考慮する際の基本的視点として参考になる。特に、本来の用途(登山用)がある道具であっても、客観的な危険性や秘匿可能性から規制対象となり得ることを示している。
事件番号: 昭和30(あ)2488 / 裁判年月日: 昭和31年2月9日 / 結論: 棄却
鉄砲刀剣類等所持取締令第二条違反の罪は刃渡一五センチメートル以上の刀を同条所定の除外事由なくして所持することによつて成立するのであり、犯人が主観的に如何なる使用目的を有していたかはその成立を左右するものではない。
事件番号: 昭和26(あ)1331 / 裁判年月日: 昭和26年8月31日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】本件は、上告理由が実質的に刑訴法411条の適用を主張するにとどまり適法な上告理由に当たらないこと、及び記録上同条を適用すべき事由がないことを理由に上告を棄却したものである。 第1 事案の概要:被告人AおよびB側からなされた各上告について、弁護人による上告趣意の一部が判例違反を主張していたが、その実…
事件番号: 昭和57(あ)1914 / 裁判年月日: 昭和58年3月25日 / 結論: 棄却
自己が約二週間前まで同棲していた女性のマンション内において、その台所から持ち出した包丁を同女と関係を持つた男性の前頸部に突きつけるなどして同人に慰藉料の支払方を承認する文書を作成させたり、同女の頭部を右包丁の峰で殴打したりし、その間ある程度の時間継続してこれを手に把持していた本件行為は、たとえその場所が自己と長年同棲し…
事件番号: 昭和29(あ)940 / 裁判年月日: 昭和31年4月10日 / 結論: 破棄自判
一 昭和三〇年七月法律第五一号による改正前の銃砲刀剣類等所持取締令第一条にいう「刀」「ひ首」「剣」「やり」「なぎなた」とは、社会通念上右のそれぞれの類型にあてはまる形態、実質をそなえる刃物を指称するものと解すべきである。 二 栗の収穫期に一時的に使用する本件の番小屋や刑法一三〇条にいう「人の看守する建造物」にあたるもの…