原判決が証拠として採用していない検察官作成の第三者に対する供述調書の証拠能力についてした判断が違法であるという主張は、原判決の違法にかかわりないものであるから上告理由として不適法である。
原判決が証拠として採用していない供述調書の証拠能力についてした判断の違法を主張する上告の適否
刑訴法321条1項,刑訴法328条,刑訴法405条
判旨
判示の要点: 証拠能力の有無が争われている証拠であっても、原判決がその証拠を事実認定の資料として用いていない場合には、当該証拠の採否に係る違法は原判決の結果に影響を及ぼさないため、上告理由には当たらない。
問題の所在(論点)
原判決において事実認定の資料とされていない証拠に証拠能力等の不備がある場合、刑事訴訟法405条所定の上告理由(判例違反等)に該当するか。
規範
刑事訴訟法405条の上告理由(判例違反等)が認められるためには、指摘された違法が原判決の結論に影響を及ぼすものであることを要する。証拠調手続や証拠能力に問題がある証拠であっても、原裁判所が事実認定の基礎としてこれを使用していない以上、当該違法は原判決の違法を構成しない。
重要事実
被告人側が、特定の供述調書の取り調べや証拠能力について判例違反があるとして上告を申し立てた事案。しかし、原判決(二審)の判文を確認すると、当該供述調書は有罪の事実認定を行うための証拠資料として採用されていなかった。
あてはめ
弁護人が指摘する供述調書について検討するに、原判決は当該調書を事実認定の資料として用いていない。そうであれば、仮に当該調書の手続等に所論のような瑕疵があったとしても、それは原判決の判断過程に含まれておらず、結論を左右するものではない。したがって、原判決に違法があるということはできない。
結論
本件上告は刑訴法405条の上告理由に当たらないため、棄却される。
実務上の射程
証拠排除の主張を行う際、その証拠が判決の基礎(有罪認定の証拠、または量刑の資料)となっているかを確認する必要がある。事実認定に用いられていない証拠の瑕疵を突いても、上告審・控訴審において『判決に影響を及ぼすべき違法』とは認められないことを示す実務上の留意点となる。
事件番号: 昭和30(あ)2149 / 裁判年月日: 昭和30年10月25日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】本決定は、訴訟法違反、事実誤認、量刑不当の主張は刑事訴訟法405条の上告理由に該当しないことを示し、職権破棄の必要性も否定して上告を棄却したものである。 第1 事案の概要:被告人側は、原審の判断に訴訟法違反(第一点乃至第三点)、事実誤認(第四点)、および量刑不当(第五点)があるとして上告を申し立て…