原判決に所論再審事由の有無について直接的な判断が示されていないことは論旨指摘のとおりであるが、原審は自ら証人その他の証拠の取調をした上で、第一審判決に事実誤認はないと判断しているのであるから、再審事由の存在を否定する判断がなされているものと認むべきである。
控訴趣意に対する再審事由の有無についての判断がなされているものと認められる場合
刑訴法392条,刑訴法396条,刑訴法384条,刑訴法383条
判旨
憲法37条2項は、裁判所に対し被告人側の申請にかかる不必要と認められる証人をも取り調べる義務を課すものではなく、裁判所は健全な合理性に反しない限り自由裁量により証人採用を決定できる。
問題の所在(論点)
裁判所が被告人側の証人尋問請求を却下することが、憲法37条2項(被告人の証人喚問権)に違反するか。裁判所における証人採否の裁量の範囲が問題となる。
規範
憲法37条2項は、裁判所に対して、被告人側の申請にかかる証人のうち不必要と認められるものまでも取り調べる義務を負わせるものではない。したがって、裁判所は、健全な合理性に反しない限り、一般に自由裁量の範囲で適当に証人申請の取捨選択をすることができる。
重要事実
被告人Cの弁護人は、原審が申請した証人を採用しなかったことについて、憲法37条2項が保障する「公費で自己のために強制的手続により証人を求める権利」に違反すると主張して上告した。判決文からは具体的な事件内容や申請された証人の詳細は不明であるが、原審は証拠取調べの結果、第1審判決に事実誤認はないと判断し、当該証人の採用を不必要として却下していた。
あてはめ
本件において、原審は自ら証人その他の証拠の取調べを行った上で、第1審判決に事実誤認はないと判断している。このような経緯に照らせば、原審が被告人側から申請された証人を「不必要」と判断して採用しなかったことは、裁判所に認められた健全な合理性の範囲内にある。したがって、裁量の逸脱・濫用は認められず、憲法37条2項に違反する不当な証人採用の拒絶には当たらない。
結論
憲法37条2項は不必要な証人を取り調べる義務を課すものではなく、原審の証人却下は適法な裁量権の行使であるため、本件上告を棄却する。
実務上の射程
刑事訴訟における証拠決定(刑訴法298条等)の裁量権に関する憲法判断の枠組みを示す。答案上は、被告人側の証人請求を裁判所が却下した際の憲法適合性を論じる際に「健全な合理性に反しない限り自由裁量」という規範として用いる。ただし、具体的必要性が高い証人を不合理に却下した場合は裁量権逸脱となり得る点に留意する。
事件番号: 昭和26(あ)4036 / 裁判年月日: 昭和27年5月1日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】憲法37条2項は被告人が申請した証人をすべて取り調べる義務を課すものではなく、また憲法37条1項の「公平な裁判所」とは裁判所の構成に関する意義を有するものである。 第1 事案の概要:被告人側が証人の取り調べを申請したが、裁判所がこれを却下した。これに対し弁護人は、証人申請の却下が憲法37条2項に違…