判旨
暴力行為等処罰に関する法律1条1項後段に規定される「数人共同シテ」の意義は、「二人以上共同して」を意味すると解するのが相当である。
問題の所在(論点)
暴力行為等処罰に関する法律1条1項後段の加重事由である「数人共同シテ」の「数人」とは、具体的に何人以上の共同を指すのかが問題となった。
規範
暴力行為等処罰に関する法律1条1項後段の「数人共同シテ」における「数人」とは、文理および法の趣旨に照らし、「二人以上」の者を指すと解すべきである。
重要事実
被告人らが暴力行為等処罰に関する法律違反等の罪で起訴された事案において、弁護人は同法1条1項後段の「数人共同シテ」の要件について、その「数人」の意義を争い、原判決の解釈には判例違反があると主張して上告した。
あてはめ
最高裁判所は、過去の大審院判例(大判大正11年10月24日等)の趣旨を再確認し、本件における「数人」の解釈を検討した。その結果、「数人」を「二人以上」と解することは、法令の文言および従来の判例の整合性から見て正当であると判断した。したがって、二人以上で共同して暴行等の行為に及んだ場合には、同条項の「数人共同シテ」の要件を満たすといえる。
結論
「数人共同シテ」とは「二人以上共同して」の意義である。原判決がこの解釈に基づき被告人らの共同正犯性を認めた点に違法はなく、上告を棄却する。
実務上の射程
本判決は暴力行為等処罰に関する法律の加重類型における基本的事項を確定させたものである。実務上、同法1条1項後段の適用にあたっては、実行行為者が二人いれば足り、三人以上であることを要しないことを示す根拠として活用される。
事件番号: 昭和28(あ)1404 / 裁判年月日: 昭和28年10月8日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】暴力行為等処罰に関する法律1条1項における「多衆の威力」を示した暴行の成否について、事実認定に基づき多衆の威力の活用が認められる場合には同条が適用される。 第1 事案の概要:被告人両名は、多人数で集合し、その多衆の威力を示す態様によって被害者に対し暴行を加えた。第一審判決はこの事実を認定し、被告人…
事件番号: 昭和25(れ)1648 / 裁判年月日: 昭和26年3月13日 / 結論: 棄却
原判示第二の事実によれば、被告人A、Bら一〇名に近い町方青年が、仲間の者を殴つたのは誰かなどと叫び、吊つてある蚊帳を切り落しなどしたうえ、Cを殴打したのであるし、また同第四の事実によれば、被告人Bら一〇名に近い者が、町方青年側として参集し、Dほか二名に対し出刃庖丁を出して指を切れなどとせまり、かつ右Dを殴打したのである…
事件番号: 昭和27(あ)2976 / 裁判年月日: 昭和31年12月20日 / 結論: 棄却
被告人四名が犯意を共通し共同して判示上京税務署員七名に対し各別にそれぞれ暴力行為等処罰に関する法律一条一項の違反行為を為し因て右署員中三名に対し各別にそれぞれ傷害を与えたような場合には右各被告人に対しそれぞれ四個の暴力行為等処罰に関する法律違反と三個の傷害罪が成立する。
事件番号: 昭和30(あ)2439 / 裁判年月日: 昭和33年5月1日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】暴力行為等処罰に関する法律1条1項の罪が成立する場合、刑法60条の共同正犯の規定を重ねて適用しなくても、同法条の適用のみで処罰することが可能である。 第1 事案の概要:被告人A、B、Cの3名は、暴力行為等処罰に関する法律違反の罪で起訴された。第一審判決は、被告人らの所為について同法1条1項を適用し…
事件番号: 昭和32(あ)1568 / 裁判年月日: 昭和32年12月26日 / 結論: 棄却
暴力行為等処罰に関する法律一条一項の犯罪は、同条項列挙の罪の特別加重犯であるから、多衆の威力を示し又は数人共同して刑法二〇八条の罪を犯し因つて人を傷害した場合は、刑法二〇四条の罪のみが成立し、同法律一条一項の違反罪は成立しないものと解するを相当とする。