「横領罪は、他人の物を保管する者が、他人の権利を排除してほしいままにこれを処分すれば、それによつて成立する」ものであることは、当裁判所の判例とするところである。(昭和二三年(れ)九三〇号同二四年六月二九日大法廷判決、集三巻七号一一三五頁参照)
横領罪における不法領得の意義
刑法252条1項
判旨
横領罪における「横領」とは、自己の占有する他人の物に対し、他人の権利を排除して、所有者でなければできないような処分をほしいままにすることをいう。
問題の所在(論点)
刑法252条1項にいう「横領」の意義、および不法領得の意思の内容が問題となる。
規範
横領罪(刑法252条1項)における「横領」とは、他人の物を保管する者が、不法領得の意思、すなわち他人の権利を排除して所有者でなければできないような処分をほしいままにすることをいう。
重要事実
被告人が、自己が保管する他人の物について、正当な権限がないにもかかわらず、その所有権を侵害する処分行為に及んだとして、横領罪の成立が争われた。事案の具体的な物品や処分態様については、判決文からは不明である。
あてはめ
本件において被告人は、他人の物を保管する立場にありながら、当該物件について他人の権利を排除し、自らがあたかも所有者であるかのように振る舞ってこれを処分したと認められる。このような行為は、所有者でなければなし得ない処分を「ほしいままに」行うものと評価できるため、横領行為に該当する。
結論
被告人の行為には横領罪が成立する。したがって、本件上告は棄却されるべきである。
実務上の射程
本判決は、横領罪の実行行為(横領)の本質を「不法領得の意思の発現」として定義した極めて重要な判例である。司法試験答案においては、委託信任関係に基づく占有の存在を指摘した上で、不法領得の意思(権利排除意思および利用処分意思)を認定し、その意思が外部に表現された事実(処分行為)を指摘する際の定義として必ず引用すべき規範である。
事件番号: 昭和26(れ)240 / 裁判年月日: 昭和26年6月29日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】横領罪における不法領得の意思とは、他人の物の占有者が委託の任務に背いて、権限がないのに所有者でなければできないような処分をする意思を指す。この意思は必ずしも自己の利益収得を意図することを必要とせず、自己の物として領得・処分する意思に限定されない。 第1 事案の概要:村長である被告人が、職務上保管し…