判旨
判決書の適条における単純な条文番号の誤記は、判決の趣旨が文脈から明白である限り、直ちに破棄事由とはならず、更正を要する誤りにとどまる。
問題の所在(論点)
判決書の適用法条に誤記がある場合、それが直ちに上告理由としての法令適用の違法(または判例違反)を構成するか。
規範
判決書において適用法条の表示に誤りがある場合であっても、判決理由の全体からみて本来適用されるべき法条が明白であり、かつ判決の趣旨に影響を及ぼさないことが明らかであるときは、法令適用の違憲・違法(刑訴法405条、411条等)には当たらない。
重要事実
被告人に対し無期懲役刑が選択された事案において、原判決の適用法条欄に刑法46条1項(死刑の場合の併合罪の特例)と記載されていた。しかし、判決理由の中では無期懲役刑を選択する旨が明示されていた。
あてはめ
原審は無期懲役刑を選択する旨を明示している。刑法46条1項は死刑をもって処断する場合の規定であり、本件で適用されるはずがないことは明らかである。したがって、当該記載は同条2項の単純な誤記であると認められる。このような明白な誤記は、判決の結論を左右するものではなく、前提となる主張を欠くものと言える。
結論
本件誤記は明白な書き損じにすぎず、判決の正当性に影響しないため、上告を棄却する。
実務上の射程
答案上は、判決書の形式的瑕疵(誤記等)が直ちに判決の破棄事由となるか否かの論点で活用できる。趣旨が明確であれば、被告人の利益を損なわない範囲で事実上の更正を認める実務上の処理を支持する射程を持つ。
事件番号: 昭和26(あ)4480 / 裁判年月日: 昭和28年11月27日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】現行の死刑制度は憲法に違反するものではなく、過去の大法廷判決の趣旨に照らして合憲である。 第1 事案の概要:被告人は強盗殺人等の罪に問われ、第一審において死刑を言い渡された。被告人側は、死刑制度自体が憲法に違反するものであると主張し、また量刑の不当や事実誤認、自白の任意性欠如などを理由に上告した。…
事件番号: 昭和22(れ)119 / 裁判年月日: 昭和23年3月12日 / 結論: 棄却
一 死刑そのものは憲法第三六條にいわゆる「殘虐な刑罰」ではなく、したがつて刑法死刑の規定は憲法違反ではない。補充意見がある。 二 原審辯護人が原審公判において、被告人に精神病の懸念があることを主張したに過ぎないときは、刑事訴訟法第三六〇條第二項に規定する事由があることを主張したものとは解せられないので、原判決がその點に…