判旨
原審が適法に公判期日の通知を行い、被告人に弁明の機会を与え、弁護人が弁論を行っている場合には、訴訟記録および第一審の証拠に基づき裁判を行うことは適法である。憲法上の適正手続や弁護を受ける権利は、これらの手続的保障がなされている限りにおいて侵害されたとはいえない。
問題の所在(論点)
控訴審(原審)において、被告人への期日通知や弁明の機会の付与、弁護人による弁論が行われた上で、第一審の証拠等に基づき裁判を行うことが、憲法が保障する適正な手続や裁判を受ける権利等に反しないか。
規範
被告人に対し適法に公判期日の通知をなし、事件につき弁明の機会を与え、かつ、弁護人が趣意書に基づき弁論を行っている場合には、原審が訴訟記録および第一審裁判所が取り調べた証拠によって裁判をすることは、適正な手続としての実質を備えており、違法ではない。
重要事実
被告人三名および弁護人が上告を申し立てた事案である。被告人らは原審の審理手続に違憲・違法があると主張した。記録によれば、原審は各被告人に対して適法に公判期日の通知を行い、被告人AおよびBは公開法廷に出席して供述し、弁護人は控訴趣意書に基づき弁論を行っていた。原審は、これらの訴訟記録および第一審で取り調べられた証拠に基づき判決を言い渡した。
あてはめ
本件では、原審において被告人らに対し適法な公判期日の通知がなされており、防御の準備のための機会が確保されている。また、被告人AおよびBは法廷で直接供述しており、弁明の機会も実質的に与えられている。さらに、弁護人が趣意書に基づいて弁論を尽くしていることから、防御権の行使も保障されている。したがって、原審が第一審の証拠等に基づき判断を下したことは、適正な訴訟手続の範囲内にあると評価できる。
結論
原審の審理手続に違憲または訴訟法違反の違法は認められず、上告は棄却される。
実務上の射程
控訴審における事後審的性格を前提とした手続的保障の限界を示す。実務上、期日通知、弁明の機会、弁護人の弁論という三要素が具備されていれば、第一審記録に基づく裁判の正当性が認められることを確認する際の根拠となる。
事件番号: 昭和29(あ)2412 / 裁判年月日: 昭和30年5月13日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】勾留手続に違法があったとしても、その一事のみをもって直ちに判決が憲法違反となるものではない。また、適法な証拠調べを経た供述調書は、内容が任意性に疑いがある等の特段の事情がない限り、証拠能力が認められる。 第1 事案の概要:被告人A及びBが起訴された事案において、被告人A側は、勾留手続に違法があった…