判旨
憲法が保障する表現の自由(21条1項)や団体行動権(28条)は絶対無制約ではなく、適法かつ正当に行使される場合に限って保護される。違法かつ不当な態様による表現活動や争議行為は、憲法の保障の範囲外として処罰の対象となり得る。
問題の所在(論点)
集会、結社、表現の自由(憲法21条1項)や団体行動権(憲法28条)は絶対的なものか。また、不当な態様で行われた行為について、憲法上の権利の行使として保護される余地があるか。
規範
憲法が保障する集会、結社、表現の自由、および労働基本権(団体行動権等)は、それらが行使される際において「適法かつ正当」な範囲にある場合に限って保護を受ける。したがって、これらの権利の行使であっても、適法性や正当性を欠く場合には、憲法上の保障を援用して免責を主張することはできない。
重要事実
被告人が行った表現活動または団体行動について、刑事罰の対象となるかが争われた事案。原審(下級審)は、被告人の行為が「適法かつ正当なものと言い難い」と判断し、有罪とした。これに対し、弁護側が表現の自由や団体行動権を侵害する違憲な判決であるとして上告した。
あてはめ
最高裁判所は、原審の判断を支持し、憲法上の諸自由の保障は「適法且つ正当に行使せられる場合」に限定されるという解釈を示した。本件における被告人の具体的な行為内容は判決文からは不明であるが、原審が認定した事実に基づき、その行為が適法・正当な範囲を逸脱している以上、憲法違反の問題は生じないとした。
結論
被告人の行為は適法かつ正当な権利行使の範囲を逸脱しており、憲法上の保障は及ばない。したがって、原判決に憲法違反の点はない。
実務上の射程
人権の教義学上、権利の保障範囲と公共の福祉による制限を議論する際の古典的な指針となる。答案上は、表現の自由や労働基本権を制限する処分の合憲性を検討する際、権利の行使態様が暴力的であったり、著しく正当性を欠く場合には、そもそも保護の範囲外(あるいは制限が正当化されやすい領域)であることを論証する際に活用できる。
事件番号: 昭和38(あ)2256 / 裁判年月日: 昭和40年9月16日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】労働組合員による組合活動であっても、その手段が暴行を伴うなど社会通念上許容される限界を超える場合は、当然に違法性が阻却されるものではない。また、争議行為を禁止する規定自体の違憲性は、当該暴力的な行為の違法性判断を左右しない。 第1 事案の概要:国家公務員である被告人らは、勤務時間内職場集会への参加…