自動車強盗の際共謀の上別の自動車でこれを追尾援助を与えようとした被告人の所為が共同正犯にあたるとした原審の判断は正当である。
自動車強盗の際、共謀の上別の自動車にて追尾援助を与えようとした者は共同正犯か
刑法236条,刑法60条
判旨
自動車強盗の際、共謀の上で別の自動車により追尾して援助を与えようとした行為は、刑法60条の共同正犯にあたると解するのが相当である。
問題の所在(論点)
自動車強盗の際、直接の奪取行為に関与せず、別の自動車で追尾・援助を試みた行為につき、刑法60条の共同正犯が成立するか。
規範
実行行為そのものを自ら分担していない者であっても、共謀に基づき、他の共犯者の実行行為を容易にするなどの援助を与える目的で現場近辺に待機・追尾する行為は、犯罪を共同して遂行する意思(正犯意思)に基づき、全体として結果に重要な寄与を及ぼすものとして共同正犯を構成する。
重要事実
被告人は、共犯者らと自動車強盗を敢行することを共謀した。実行の際、被告人は強奪対象となる自動車を直接奪取する行為には加わらなかったが、別の自動車を運転してこれを追尾し、必要に応じて援助を与えようとした。
あてはめ
被告人は、共犯者らと強盗の共謀を遂げている。その上で、実行行為の際、別の自動車で追尾する行為は、単なる傍観ではなく、不測の事態に備えた援助の準備であり、心理的・物理的に実行行為を促進・容易にするものである。このような追尾援助は、共同の意思に基づく役割分担として、犯罪の遂行に重要な役割を果たしたものと評価できる。したがって、被告人の所為は、強盗罪の共同正犯としての責任を負うに値する行為といえる。
結論
自動車強盗の際、共謀の上で別車にて追尾・援助しようとした被告人の行為には、共同正犯が成立する。
実務上の射程
実行行為を分担していない「見張り」や「運搬・追尾」といった後方支援行為について、共同正犯の成立を認める際の有力な根拠となる。答案上は、共謀・正犯意思・因果性(重要な役割)を認定する際の具体例として活用できる。
事件番号: 昭和25(れ)366 / 裁判年月日: 昭和25年6月20日 / 結論: 棄却
一 原判決は被告人に對し酌量減輕をなすに當り刑法第六六條、第七一條第六八條を適用した上更に同法第七一條第七二條を適用していることは所論の通りであるが、かかる條文が記載してあるからと云つて被告人に對する處斷刑を不明確ならしめるものではなく結局不要の條文を誤つて記載したにすぎないと認められるから原判決には何等影響するところ…