判旨
公職選挙法252条の規定が憲法に違反して無効であるとしても、それは同条所定の処刑に伴う選挙権停止等の効果を生じないにとどまり、前提となる同法221条の処罰規定までを無効とするものではない。
問題の所在(論点)
公職選挙法252条が仮に違憲無効である場合、これとは別の規定である同法221条に基づく処罰の効力までが無効となるか。違憲無効とされる規定の効力の及ぶ範囲が問題となる。
規範
特定の法規定が憲法違反として無効であると仮定しても、その効力が及ぶ範囲は当該規定に基づく法律効果に限られる。ある規定が違憲無効であっても、それと直接の関連性がない他の処罰規定の効力が当然に否定されるわけではない。
重要事実
上告人は、公職選挙法221条(買収及び利害誘導罪)に基づき処罰された。これに対し上告人は、同法252条(選挙犯罪による処刑に伴う選挙権及び被選挙権の停止規定)が憲法違反であり無効であるから、その前提となる同法221条による処刑自体も無効であると主張して上告した。
あてはめ
公職選挙法221条は裁判所が適用すべき実体的な処罰規定であるのに対し、同法252条は特定の選挙犯罪による処刑という法律事実に伴い、法律上当然に選挙権等の停止という効果を生じさせる規定に過ぎない。したがって、仮に252条が違憲無効であっても、生じないのは選挙権停止等の法律効果だけであり、裁判所が221条に基づいて行った処罰という法律事実そのものを無効ならしめる理由にはならない。両規定は別個の目的と効力を有するものであり、252条の違憲性を理由に221条の違憲・無効を主張することはできない。
結論
公職選挙法252条の違憲性は同法221条による処罰の有効性に影響を与えないため、上告は棄却される。
実務上の射程
法令の違憲を主張して処分の取消しや無効を求める際、当該法令が「裁判規範」として適用されているのか、あるいは特定の事実から派生する「法律効果」を定めているに過ぎないのかを区別する視点を示す。答案上は、一部の規定の違憲性が直ちに法体系全体の無効を招くわけではないという、違憲判断の射程の限定を示す際に有用である。
事件番号: 昭和29(あ)2610 / 裁判年月日: 昭和30年5月31日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】公職選挙法252条による選挙権および被選挙権の停止規定は、日本国憲法第14条、第15条および第31条に違反しない。 第1 事案の概要:上告人は、公職選挙法違反の罪を犯し、同法252条に基づき選挙権および被選挙権の停止処分を受けた。これに対し、当該規定が憲法14条、15条、31条に違反すると主張して…