日本専売公社の売渡さない製造たばこを不法に所持するたばこ専売法六六条一項違反の罪と連合国占領軍又はその要員の財産を不法に所持する昭和二四年政令第三八九条第二条第一項違反の罪とは、所論の如く一般法と特別法の関係または吸収犯の関係に立つものではなく、両者は一個の行為にして数個の罪名に触れる場合にあたるものと解するを相当とする。
たばこ専売法第六六条第一項違反と昭和二四年政令第三八九号第二条第一項違反との関係
たばこ専売法66条1項,連合国占領軍財産等収受所持禁止令(昭和24年政令389号)2条1項,刑法54条1項
判旨
日本専売公社が売り渡さない製造たばこを不法に所持する行為が、たばこ専売法違反と占領軍等の財産不法所持罪の双方に触れる場合、両罪は観念的競合(刑法54条1項前段)の関係に立つ。
問題の所在(論点)
同一の物件を不法に所持する一個の行為が、二つの異なる刑罰法規に抵触する場合、その罪数は法条競合(特別関係・吸収関係)となるか、あるいは観念的競合となるか。
規範
一個の行為が数個の罪名に触れる場合(観念的競合)に該当するか、あるいは法条競合(一般法と特別法の関係や吸収犯の関係)に該当するかは、保護法益や構成要件の重なり合いに基づき判断される。
重要事実
被告人が、日本専売公社の売り渡さない製造たばこを不法に所持した。この行為が、たばこ専売法66条1項違反の罪と、連合国占領軍又はその要員の財産を不法に所持する罪(昭和24年政令第389号2条1項違反)の両方に抵触した。
あてはめ
本件におけるたばこ専売法違反と占領軍財産不法所持罪は、一方が他方の特別法であるとか、一方が他方に当然に包含されるという関係にはない。したがって、これらは一般法と特別法の関係や吸収犯の関係に立つものではなく、一個の所持行為によって複数の罪名を侵害したものと解される。
結論
両罪は一個の行為にして数個の罪名に触れる場合に該当し、観念的競合の関係に立つ。
実務上の射程
一個の行為が複数の法益を侵害し、各構成要件の間に包含関係が認められない場合、観念的競合として処理すべきであることを示す。罪数論における法条競合と観念的競合の区別において、各罰則の規定意図や対象の違いを考慮する際の指標となる。
事件番号: 昭和27(あ)3663 / 裁判年月日: 昭和28年11月24日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】一の行為が複数の罪名に触れる観念的競合の関係にある場合、その一方が大赦令により赦免の対象となる罪であっても、他方が赦免対象外の罪であるときは、被告人は刑事責任を免れない。 第1 事案の概要:被告人は外国煙草を不法に所持していた。この行為は、政令第165号(連合国軍有財産等の不法所持等に関する件)違…