判旨
密造酒の所持を処罰する規定は、個人の尊厳や生存権を保障する憲法13条および25条に違反するものではない。
問題の所在(論点)
酒税法等の規定に基づき密造酒の所持を処罰することが、憲法13条(個人の尊重・幸福追求権)および25条(生存権)に抵触し、違憲とならないか。
規範
公共の福祉に基づく財政目的や公衆衛生の観点から、酒類製造及び所持を規制・処罰することは、憲法13条(幸福追求権)や憲法25条(生存権)の趣旨に反しない。
重要事実
被告人は密造酒を所持していたことにより処罰された。被告人側は、密造酒の所持を処罰することは、憲法13条が保障する個人の尊重や幸福追求権、および憲法25条が保障する生存権に違反すると主張して上告した。
あてはめ
最高裁判所は、過去の大法廷判決(昭和23年9月29日判決等)の趣旨を引用し、密造酒の所持を処罰する法規制について検討した。これらの規制は、国の財政基盤の確保や国民の健康保護という公共の福祉に資する目的を持つ。したがって、当該処罰規定が個人の尊重を害し、あるいは生存権を侵害するような不当な制約を課しているとは認められないと評価した。
結論
密造酒の所持を処罰することは憲法13条、25条に違反しないため、本件上告を棄却する。
実務上の射程
租税法や公衆衛生に関する規制の合憲性が争われる際の古典的な判決の一つである。生存権や幸福追求権も公共の福祉による合理的制限に服することを示す材料として利用できるが、現在はより具体的な審査基準が用いられるため、答案上は公共の福祉による制約の一般論を確認する際に言及するに留めるのが適切である。
事件番号: 昭和27(あ)2138 / 裁判年月日: 昭和28年10月13日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】憲法25条1項が保障する生存権の規定は、経済的な困窮等を理由とする犯罪行為を正当化し、あるいは刑罰を免れさせる法的根拠にはならない。 第1 事案の概要:被告人は、焼酎の原料たる醪(もろみ)を密造した等の罪に問われた。これに対し被告人側は、当時の極めて貧困な生活状況に鑑み、最低限度の生活を営むための…