判旨
控訴審において主張されず原審の判断を経ていない事項や、単なる法令違反・量刑不当の主張は、適法な上告理由には当たらない。
問題の所在(論点)
控訴趣意として主張せず原審の判断を経ていない事項を上告理由とすることの可否、および単なる法令違反や量刑不当が刑訴法405条の上告理由に当たるか。
規範
刑訴法405条各号所定の上告理由(憲法違反、判例違反)に該当しない主張、すなわち単なる法令違反や量刑不当の主張は適法な上告理由とならない。また、控訴趣意として主張されず原審の判断を経ていない事項を前提とする主張も、上告審の審理対象とはならない。
重要事実
被告人Aおよび被告人Bが、共同正犯(刑法60条)の適用遺脱や量刑不当、憲法違反、判例違反等を理由に上告した事案。被告人B側は第1審における刑法60条の適用遺脱を違憲として主張したが、これは控訴趣意に含まれていなかった。被告人A側も、控訴趣意として主張せず原審の判断を経ていない事項に基づき憲法違反を主張した。
あてはめ
被告人Bの刑法60条適用遺脱に関する主張は、控訴趣意としてなされておらず、その実質も単なる法令違反にすぎないため、刑訴法405条にいう適法な上告理由に当たらない。被告人Aの主張についても、引用判例が本件に適切でないため判例違反とはいえず、また控訴趣意にない事項に基づく違憲主張は、原審の判断を経ていないため不適法である。さらに、両名の量刑不当の主張は同条の上告理由に含まれない。
結論
本件各上告は、適法な上告理由を欠くため、刑訴法408条により棄却される。
実務上の射程
上告審の構造(事後審・制限上告主義)を端的に示す判例である。答案上は、上告理由の適格性や、控訴審で主張しなかった事項を上告審で新たに主張することの制限について論じる際の根拠となる。
事件番号: 昭和26(あ)1550 / 裁判年月日: 昭和27年7月15日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】控訴審で主張されず、原審が判断していない事項(憲法13条違反、31条違反等)を上告理由とすることは適法ではない。また、量刑不当や事実誤認の主張は、刑事訴訟法405条所定の上告理由に該当しない。 第1 事案の概要:被告人の弁護人は、原判決が示した事実の判断が憲法31条に違反し、また刑罰が過酷であると…