判旨
被疑者が既に釈放されている場合、検察官が行った接見日時指定処分の取消しを求める準抗告等の請求は、もはやその利益を失い、不適法となる。
問題の所在(論点)
被疑者が釈放された後においても、身体拘束中になされた接見日時指定処分の取消しを求める申立てについて、有効な不服申立ての利益が認められるか。
規範
裁判所に対する不服申立てが適法であるためには、当該処分を取り消すことによって回復すべき法的利益(訴えの利益)が存在しなければならない。被疑者の身体拘束を前提とする処分については、釈放によってその拘束状態が解消された場合、特段の事情がない限り、処分の取消しを求める実益は消滅する。
重要事実
申立人(弁護人)は、区検察庁副検事が被疑者Aとの接見について行った日時指定処分の取消しを求めていた。しかし、特別抗告の審理段階において、被疑者Aは既に釈放されていることが明らかとなった。
あてはめ
本件において、被疑者Aは昭和27年10月28日に既に釈放されている。接見日時指定は身体拘束下の被疑者と弁護人との接見を制限・調整する処分であるが、被疑者が釈放された以上、当該処分の効力を争い、その取消しを求めたとしても、現実に接見の機会を回復するという目的を達することはできない。したがって、本件請求は既にその利益を失ったものといえる。
結論
被疑者が釈放されたことにより、接見日時指定処分の取消しを求める請求は利益を失い、棄却(実質的には却下)を免れない。
実務上の射程
接見交通権の侵害に関する準抗告や特別抗告において、釈放後の訴えの利益を否定した典型例である。答案上では、国家賠償請求による事後的な救済の可能性は残るものの、刑事手続内での不服申立てについては、対象となる身体拘束が終了した時点で「実益なし」として門前払いされるロジックとして用いる。
事件番号: 昭和44(し)21 / 裁判年月日: 昭和44年4月10日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】接見指定の取消又は変更を求める権利は、身体拘束中の被告人・被疑者に認められるものであるから、釈放後は申立ての利益を欠き、原決定を取り消す実益がない。 第1 事案の概要:申立人は、裁判官の発した勾留状により勾留されていた被疑者であった。申立人は検察官が行った接見指定に対して不服を申し立てていたが、最…
事件番号: 昭和43(し)106 / 裁判年月日: 昭和43年12月24日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】勾留状により拘束されていた被疑者が既に釈放された場合、勾留の裁判に対する不服申立てについて判断し、原決定を取り消す実益は失われる。 第1 事案の概要:申立人らは、昭和43年11月28日に東京地方裁判所裁判官が発した勾留状に基づき勾留されていた。しかし、抗告審の審理継続中である同年12月13日に釈放…
事件番号: 昭和33(し)6 / 裁判年月日: 昭和33年3月24日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】接見指定に関する準抗告棄却決定に対する特別抗告において、既に弁護人が接見を終えている場合や、公訴提起または釈放により接見指定の規定が適用される余地がなくなった場合には、原決定を取り消す実益がなく、抗告は理由がない。 第1 事案の概要:弁護人が、検察官による接見指定に対して不服を申し立てた事案。しか…
事件番号: 昭和54(し)54 / 裁判年月日: 昭和54年5月9日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】起訴前の勾留中になされた接見交通指定処分について、被疑者が釈放された場合には、当該処分の取消しを求める訴えの利益(不服申立ての実益)は消滅する。 第1 事案の概要:本件申立人は、起訴前の勾留中に検察官から弁護人との接見交通の指定処分を受けた。申立人はこの処分の当否を争い抗告を申し立てていたが、最高…
事件番号: 昭和49(し)45 / 裁判年月日: 昭和49年5月8日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】勾留処分に対する不服申立てにおいて、当該勾留の期間が既に経過している場合には、処分の効力を争う利益が失われるため、申立ては不適法(理由がない)となる。 第1 事案の概要:検察官による勾留処分がなされたが、特別抗告の審理時点において、当該勾留処分の対象となっていた期間(昭和49年4月24日まで)は既…