検察官のした接見交通の指定処分を争う特別抗告が申立の利益を失つたとされた事例
刑訴法39条1項
判旨
起訴前の勾留中になされた接見交通指定処分について、被疑者が釈放された場合には、当該処分の取消しを求める訴えの利益(不服申立ての実益)は消滅する。
問題の所在(論点)
身体拘束中になされた接見交通指定処分に対し不服申立てがなされている場合において、申立人が釈放されたときに、なお当該処分の取消しを求める不服申立ての実益(訴えの利益)が認められるか。
規範
刑事訴訟法上の不服申立てにおいて、既に被疑者が釈放され、身体拘束の状態が解消している場合には、過去になされた身体拘束に伴う処分の効力を争う必要性が失われるため、特別抗告や準抗告等をもって処分の取消しを求める実益(訴えの利益)は失われる。
重要事実
本件申立人は、起訴前の勾留中に検察官から弁護人との接見交通の指定処分を受けた。申立人はこの処分の当否を争い抗告を申し立てていたが、最高裁判所の決定がなされる前の昭和54年4月30日に既に釈放されていた。
あてはめ
本件において、申立人は昭和54年4月30日に釈放されている。接見交通指定処分は身体拘束を前提とした処分であり、既に釈放された以上、当該処分の効力を取り消すことによって回復されるべき権利利益は現存しない。したがって、原決定の取消しを求める実益はなくなったといわざるを得ない。
事件番号: 昭和44(し)21 / 裁判年月日: 昭和44年4月10日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】接見指定の取消又は変更を求める権利は、身体拘束中の被告人・被疑者に認められるものであるから、釈放後は申立ての利益を欠き、原決定を取り消す実益がない。 第1 事案の概要:申立人は、裁判官の発した勾留状により勾留されていた被疑者であった。申立人は検察官が行った接見指定に対して不服を申し立てていたが、最…
結論
被疑者の釈放により接見交通指定処分の取消しを求める実益は消滅したため、本件抗告を棄却する。
実務上の射程
接見交通指定の適法性を争う不服申立て(刑訴法430条等の準抗告を含む)において、釈放や起訴(接見指定の根拠消滅)により訴えの利益が失われるとする実務上の原則を確認する事例。事後的に接見指定の違法を争いたい場合は、取消訴訟ではなく、国家賠償請求等の手段による必要がある。
事件番号: 昭和44(し)20 / 裁判年月日: 昭和44年4月10日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】勾留状により勾留されていた被疑者が釈放された場合には、勾留の取消し等を求める不服申立ての利益が消滅するため、裁判所は原決定を取り消す実益がないものとして抗告を棄却すべきである。 第1 事案の概要:申立人は、昭和44年1月27日に簡易裁判所の裁判官が発した勾留状に基づき勾留されていた。しかし、その後…
事件番号: 昭和46(し)70 / 裁判年月日: 昭和46年9月14日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】接見拒否処分の効力を争う手続において、被疑者が公訴を提起され、かつ保釈により釈放された場合には、当該処分の効力を争う利益が失われる。 第1 事案の概要:被疑者Aは詐欺等の容疑で勾留中、検察官及び司法警察職員から接見拒否処分を受けた。その後、Aは当該事件について公訴を提起され、さらに保釈許可決定によ…
事件番号: 昭和33(し)6 / 裁判年月日: 昭和33年3月24日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】接見指定に関する準抗告棄却決定に対する特別抗告において、既に弁護人が接見を終えている場合や、公訴提起または釈放により接見指定の規定が適用される余地がなくなった場合には、原決定を取り消す実益がなく、抗告は理由がない。 第1 事案の概要:弁護人が、検察官による接見指定に対して不服を申し立てた事案。しか…
事件番号: 昭和32(し)23 / 裁判年月日: 昭和32年5月21日 / 結論: 棄却
勾留せられた被疑者が留置の必要事由消滅により釈放された以上、同人に対する勾留状の効力を争うことは利益がない。